導入当初は、1331ccの直列4気筒ガソリンを積む「A180」系のみでしたが、今回1950ccのクリーンディーゼルを積む「A200d」が導入されました。2019年6月から順次納車が開始されています。
搭載される2.0Lディーゼルは、Cクラスや Eクラスに積まれている「OM654」を横置き用に変更されたエンジンで、従来の排出ガス処理システムに加えて、アンモニアスリップ触媒(ASC)を備えるSCR触媒が増設され、入念な排ガス処理が施されています。
こうした環境性能の高さはもちろん美点で、ユーザーが恩恵を感じられるのは、ディーゼルらしいトルク感あふれる走りでしょう。150ps/3400-4400rpm、320Nm/1400-3200rpmという数値以上にトルクフルで、高速域のパンチ力もディーゼルとしては十分に感じられます。さらに、8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)は、スムーズなのはもちろん、SPORTモードにすると、ダイナミックな加速フィールを味わえるのも美点。
しかも、重いディーゼルエンジンを積んでいるにも関わらずフットワークは軽快で、同時に鼻先の重さを抱かせないのも好印象。試乗時では日本仕様の車両重量は未定となっていましたが、ガソリンよりも車両重量が重いのは間違いなく、そうした重さを抱かせないフットワーク、そして乗り心地の良さも好印象です。
ガソリン仕様の「A180」系は、低速域でコツコツとした乗り味を示すシーンがあったものの、「A200d」は適度な重さが落ち着きをもたらしているように感じられます。なお、サスペンションはフロントがストラット、リヤはトーションビーム。試乗車のタイヤは、ピレリ「チンチュラート P7」で、サイズは225/45R18でした。
価格設定も絶妙で、ディーゼルエンジンによる免税措置や補助金、燃料も軽油なので、ハイオクガソリンに対してリッターあたり20円程度安くなりますから、399万円という「A200d」は、現時点で最も狙い目の新型Aクラスといえます。
(文/写真 塚田勝弘)