●燃費が良いのは当然。それだけで終わらせないボルボの「ツインエンジン」
ボルボV60に設定されているPHEVの『T6 ツインエンジン』。今回新たに、装備レベルを標準的なものにして価格を100万円下げた「モメンタム(659万円・オプション含まず)」というグレードが発表されたのを機会に、「インスクリプション(759万円)に試乗しました。
このプラグインハイブリッドモデルは前輪をエンジンで、後輪をモーターで駆動するというもの。搭載するエンジンはガソリン4気筒ターボ&スーパーチャージャー過給もので、最高出力は253ps。リヤに後輪駆動用・87psのモーターを組み合わせます。ちなみにフロントにはエンジン始動や加速を手助けする46psのモーターもセットされています。
車両のプラットフォームはスケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ(SPA)と呼ばれるもの。ボルボの中型から大型車両を幅広くカバーする最新のものですね。
それでは早速試乗してみます。
パワーユニットを始動するにはセンターコンソールにある独特な形をしているスイッチを右にひねります。ちなみにストップする際にも同じ方向にひねります。
するとドライバー正面の液晶モニターにアナログメーター表示が現れます。左には260km/hまで刻まれたスピードメーター、右にはパワー表示モニターが出ました。これは一見タコメーターのように見える円グラフ状のもの。
ハイブリッドモード(後述)等にしていると、この部分には電気マークと液体マークが現れます。
アクセルを踏み込むと円グラフの左下から針が上がっていき、9時から11時ぐらいまでは、電気マークで示す領域を針が進みます。この領域での走行ではモーターが主体であることを表してるんですね。
そこからさらにアクセルを踏み込んでいくと、11時以降3時の位置までは液体マークがセットされたエリアになります。これは液体燃料、つまりガソリンエンジンが作動する領域であることを表します。
ドライブモードの選択はエンジン スタート ストップ スイッチの下にあるローラーを使用。押し込むとドライブモード選択画面になります。その後、ローラーを前後に動かすことでモードを選択していきます。
ピュアを選択するとモーターのみで駆動します。ハイブリッドを選択するとエンジンとモーターを上手に組み合わせます。
インディビジュアルは設定をオーナーが自在に設定することができるモードです。パワーモードにするとエンジンとモーターを思い切りよく使う、わんぱく状態になります。
まずはピュアで走ってみます。モーターのみでの走行ですから当然なのですが、本当に静かな車内に驚きます。
またタイヤからのパターンノイズのような音も非常に小さく抑えられています。エンジン始動の有無に関わらず、このボルボV60自体の遮音性が非常に高いことがよくわかりました。
ちなみにV60ツインエンジンでは、このEV状態のまま時速125km/hまで対応してくれます。つまり日本では高速道路も含めてモーターのみで走ることができるというわけなんです。
続いてハイブリッドを選択します。このモードでの走りでは65km/hまではモーターが連続して駆動をサポートしてくれます。
エンジンとモーターの出力特性はごくごく自然。PHEVだということを知らされずに乗った場合には、よくできたガソリンエンジンだと思うことでしょう。
最後にパワーモードをセレクトしました。このモードでは時速175km/hまで常時、リヤモーターが稼働してくれます。
またエンジンも、よりレスポンシブに反応してくれます。アクセルを軽く踏み込むだけでも、カロリーの高い加速を見せてくれます。やみつきになるトルクの出方でした。
ボルボV60 T6 ツインエンジンは燃費が良いのは当然として、それだけを売りにしていないところが面白い点。
エンジンに装着されているスーパーチャージャーとターボチャージャーに続く、第3の過給器的にモーターを使い、気持ちいい速さを目指してるところが特徴です。
(写真・動画・文/ウナ丼)