大きくなっても3シリーズらしいキレの良さは健在【新型BMW 3シリーズ試乗記】

試乗したのは「330i M Sport」というデビュー時点で最も高いグレードで、車両価格は632万円。試乗車はそこに、「メタリック・ペイント(新色のポルティマオ・ブルー)」「イノベーション・パッケージ」「ハイライン・パッケージ」「コンフォート・パッケージ」「ファスト・トラック・パッケージ」という総額92万2000円のオプションが加わり、724万2000円になっていました。

搭載されるパワートレーンは2.0L直列4気筒DOHCの「B48B20B」型。BMWが推進しているモジュラーエンジンで、トランスミッションは8AT。

出力は258ps/5000rpm・400Nm/1550-4400rpm、試乗車の車重は1630kg。ボンネットフードやフロントフェンダーなどがスチールからアルミに置換されたことで、大型化しながらも軽量化が図られています。

BMWらしく、ドライブモードにより走りの印象をガラリと変えるのも新型3シリーズの特徴で、「ECO PRO」だと想像以上にパワーが絞られ、本当にガソリンは1滴も無駄にしないというのが伝わってきます。「SPORT」にすると出だしから豹変し、アドレナリン全開の走りにも余裕で応えてくれます。

さらに、乗り心地重視の「COMFORT」も用意されていて、ランフラットタイヤで19インチという厳しい条件下でも、まずまず許容できるという乗り心地でした。

荒れた路面だと上下、左右に揺すぶられる傾向が強く、「COMFORT」にするとなんとか当たりがマイルドになるかな、という感じで、少し速度域が上がらないとボディの動きが落ち着かないという状態。

一方、極太のステアリングホイールを左右に切ると、先代と同様に3シリーズらしい切れ味と、直進安定性の高さを披露してくれます。

大小多様なコーナーが続く山岳路でもライントレース性は非常に高く、安心感の中にも楽しさが十分に感じられる仕上がり。ボンネットフードのアルミ化もあってか、コーナーに向かって姿勢が素直に変わり、ノーズの重さを感じさせません。

なお、新型「BMW 320i」には日本専用チューンのエンジンが搭載されるそうですから、こちらの205/60R16タイヤ装着車で新型3シリーズ本来の乗り味がより分かるかもしれません。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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