【スーパー耐久2019】富士SUPER TEC 24時間レースは瞬間の全てがドラマチック!

夜明けからもドラマの連続な24時間レース

夜が明ける4時30分ころ、ナイトセッションが終わりここから次第に富士スピードウェイは明るくなってきます。

明るくなってきたら安心なのか?いいえそんな事はありません。夜が明けてくると日差しの眩さにドライバーもピットクルーも疲労度が徐々に増してくるのです。疲労度が増してくるのはマシンも同じこと。タイヤが脱落し、そのタイヤがコース上を転がることもあります。上の写真はその転がってきたタイヤですが、不幸中の幸いでコースサイドのフェンスに当たって止まったので黄旗対応でレースを中断することなく回収されて事なきを得ました。

24時間レースで重要なのは諦めないこと。これを体現したのがアクセラディーゼルの17号車 DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-D。2時間近いピットインで同クラスのトップとは60周以上の差がついておりクラス最下位。

しかし同クラスのマシンにトラブルが発生し、何度もピットに入り修復をしながら走行しているライバルがいたのです。

このライバル、6号車 新菱オート☆DIXCELエボⅩのトラブル修復のピットインの間もアクセラディーゼルは淡々と走り続け、残り30分というところで3位に浮上したのです。しかし3位に浮上した周に 新菱オート☆DIXCELエボⅩはピットアウト。速さに勝るエボXは再び3位に浮上します。しかし諦めることなく走り続けたおかげで一瞬でも表彰台の光明が見えたことは言うまでもありません。24時間レースならではのドラマではないでしょうか。

そんな過酷なドラマを繰り広げてきた富士SUPER TEC 24時間レース。そのドラマチックなレースで総合優勝を果たしたGTNET GT3 GT-Rの総合優勝はピレリスーパー耐久シリーズ2019のどのレースの優勝よりも喜びが大きいのではないかと思います。

キャンプやBBQなどで思い思いに過ごしてきた来場者数のべ3万人以上の観客も、コース開放された暫定表彰式には一斉に集まり大歓声で祝福を上げます。走る側も見る側もともに24時間を戦い抜いたという一体感が表彰式を包む……2年目にしてもはや完全に定着したのではないかと思われる富士の24時間レースはこれからもずっと続いていくことを望んで止みません。

(写真・文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
続きを見る
閉じる