スープラファンの聖地になる? 新型GR Supraエンブレムの「S」は、ニュルブルクリンクのS字カーブがモチーフだった!

■Z4とは9割違う! GRスープラとZ4が目指したのは「ケイマン」と「ボクスター」のような関係!?

トヨタの新型「GRスープラ」。

私は2018年ジュネーブモーターショーでコンセプトモデルのお披露目と話を聞き、袖ヶ浦でプロトタイプのサーキット試乗。そしてこの度やっと公道試乗が叶いました!

そして新型スープラ開発責任者の多田哲哉氏がその時々で、出せる情報のすべてを丁寧に説明してくれ、時には広報さんからNGが出るようなことも(笑)。そして今回の公道試乗会の際にも「全部話します!」ということ。

新型スープラの記事はこれまでも皆さん、いろいろなところで目にしていると思いますが、私が今回聞いたことで改めてみなさんに知っていただきたいこと、興味深かったこと、そして初めてきいた話をまとめてみました。

Q:BMWとの開発が始まったのはいつですか?
多田氏:2012年5月からなので7年前です。ちょうど86の試乗会の最中に、「バルセロナに行け」というミッションがあり、そのまま向かいました。しかしその時、車種はまだ決まっていませんでした。量産車で直6、FR。しかし当初、BMWは「Z4はモデルチェンジしない」と言っていました。しかし私はどう見ても「スープラだろう」と。しかし何も決まらずに1年が過ぎました。

Q:その時、指令を出したのは?
多田氏:内山田会長です。トヨタ側は古典的なピュアスポーツカーが作りたい、しかしBMW側は「スポーツカービジネスは儲からなくていい」という、全く違う考えでした。両社ともにブランドバリューが上がるような環境とスポーツを高次元で叶えるということでは一致しましたが、BMWはちょうど「i8」」を出すタイミングだったこともあり、それにトヨタの環境ビジネスを加えて「i9みたいなクルマはどうか?」と提案されました。確かに時代の流れとしてはそうかもしれません。しかしトヨタはスープラを譲りませんでした。

Q:BMW「i9」のようなクルマを作にはならなかった?
多田氏:BMW側のトップが変わったんです。すると、いきなりGOサインが出て、BMWはオープンカーにすることに。
プラットフォームはシェアし、オープンとクーペを作る。ポルシェの「ケイマン」と「ボクスター」のようなものを作ろうということになりました。当初は既存のプラットフォームを検討しましたが、合うものが無かったので新規で作ることにしたのです。それにしてもBMWのクルマ作りは上手いです。想像を超えた短いホイールベースを出してきました。

お互いそれぞれの知見を出し合って、プロポーションモデルをデジタルで作りながらデザインのディメンションをつくりました。ここで重要なのはホイールベースとトレッドの比率です。クルマはベルギーのダーネスというマスタードライバーがエンジンのチューニングをはじめ、トランスミッション、アクティブステアリング、ボディ剛性、重量配分などすべてをセッティングしました。実はスープラは後方から水はねの音が聞こえます。敢えてリアまわりの遮音材を減らしています。これはコストカットのためではなく、リアのエグゾーストの音が聞かせるためです。プラットフォームは、「BMWでもトヨタでもない新しい領域に両社で行こう」という想いで作りました。お互い思想が違いますが、どちらでもないものをと。そして乗り比べてお互いに満足のいくものができたと思っています。途中、作り直しは何度も行いました。これは今までトヨタでは経験が無いことです。トヨタはやり直しを嫌うのでそれまでの準備に時間をかけます。しかしBMWは何度もやり直すことで、最後に失敗させないようにする、というふうに考え方が全く違います。

Q:GRスープラとZ4で、共通なのは何割ですか?
多田氏:部品は9割違います。シフトノブや電子プラットフォームは共通ですが、それ以外はほとんど違います。

Q:袖ヶ浦でプロトタイプを運転しましたが、その時から変えたことは?
「あの時はまだ個体ごとのばらつきが大きく、いいか悪いかというような評価の基準に至っていませんでした。ステアリング、ショックアブソーバーなど…いろいろ変えました。

Q:多田さんは86と新型スープラ、両方を担当されましたが、それぞれにどう思っていますか?
多田氏:86はリスペクトしています。86を通じて、トヨタのスポーツカーのスキルが上がりました。これは86のおかげだと思っています。そしてスープラは86ファンの次の世界。86ファンのその先です。たとえば86はプリウスのタイヤを装着し、滑り出しても安全の領域内です。しかし新型スープラはグリップの良いタイヤで違う世界。すみ分けています。

Q:新型スープラ「Supra」のエンブレムはなぜリアの真ん中にしたのですか?

多田氏:この質問の答えは、デザイナーから。

というわけでここからはプロジェクト・チーフ・デザイナー中村暢夫氏にバトンタッチ。

中村氏:スープラのバッジを真ん中にしたのには3つの理由があります。一つは新型「Supra 」のリアのデザインのバランスを考えて、真ん中しか無いなと思いました。

二つ目は、ニュルブルクリンクのS 字カーブをモチーフにしました。そして「Supra」の文字を中央にし、欧州では「Supra」バッジの上に「TOYOTA」というロゴも入るので、そうなったときに両端が台形になるようにしました。

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ちなみにそのS字カーブの名前は「Wehseifen 」(ドイツ語読みでヴェアサイテン)。ニュルブルクリンクのスタート地点から約8kmぐらい行ったところにあるそうです。試乗会では写真も見せていただきましたが、おそらく著作権の問題で掲載NG 。日本語で直訳すると「苦悩の石鹸」という意味のようですが、わざわざそのS字コーナーをモチーフにしているということは、かなり開発陣には思い入れのあるような場所のようです。しかも、このS字コーナーを撮影するためには、かなりワイルドに行かねば撮影ができないとのこと。
ここは今後、スープラファンの聖地になりそうですね。私も行ってみたい!

(吉田 由美)

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