結果が求められるプロドライバーの世界、それも国内屈指のカテゴリであるスーパーGTで、デビュー以来3戦2勝という驚くべき結果を出している、K-tunes Racingのルーキードライバー阪口晴南選手。
1999年7月9日生まれ。幼少期より慣れ親しんだカートで数々のタイトルを総ナメにし、16歳で4輪にステップアップ。その2015年にはスーパーFJで、F1日本グランプリでのドリームカップと日本一決定戦の2冠を獲得すると共に、鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)を首席で卒業(同期に牧野任祐)。翌2016年にはHonda Formula Dream Project(HFDP)から全日本F3選手権に参戦を開始すると2018年にはマカオグランプリにも参戦。また国内トップフォーミュラであるスーパーフォーミュラにも無限からスポット参戦するなど、HONDAの若手ドライバーとして将来が有望視されていました。
そして迎えた2019年1月のオートサロン、HONDAのモータースポーツ活動計画発表の場において、多くのファンの期待も虚しく、坂口選手の名前が呼ばれることはありませんでした。
その約4時間後、同じオートサロンの会場ではTOYOTA陣営・K-tunes Racingの2019年体制発表が行われました。その時は第2ドライバーは後日発表とされましたが、まさかその1ヶ月後、TOYOTA Gazoo Racingの体制発表で坂口選手の名前が呼ばれるとは、誰も想像できなかったに違いありません。
今シーズン2勝目を挙げた「SUZUKA GT 300km RACE」の優勝ドライバー会見で、坂口選手自らも「スーパーGTに今年から参戦を始めて、そう簡単に勝てるレースではない事は十分に承知していたので、3戦して2勝もできたことは、年末年始に挫折した時からしたら考えられない成績」とコメントしています。
チームメイトで、GT300最多勝利記録保持者の新田守男選手からも
「ARTA時代に初めて会った時は本当に子供だった子が、こうして(スーパーGTで)一緒に組むことになるとは思ってもみなかった。今年K-tunesに乗ると決める時にも、人生の中で恐らく初めて大きい辛い思いをした中でいろんな決断をしたと思う。
(坂口選手は)自身の技術や経験の足りない部分というのをすごく理解していて、経験者から話を聞いてどう取り入れられるかというのをものすごく考える。そして非常に素直に、良いところは取り入れるということをものすごくやっているので、きっとこれからの成長の度合いも早いだろうし、自分よりも(会見に同席している)(中嶋)一貴や(関口)雄飛みたいな世界のトップドライバーと組んで、これからもっともっとレーサーとして大きな実績を築いていくんじゃないか。
そのためにもK-tunesを早く卒業して、GT500やスーパーフォーミュラに乗ってもらいたい」
と、大絶賛。
そして「去年の終わりに僕のことをダメだなと思った人たちに見たか!と言ってやりたい」という一言には、そんな挫折からこうして栄光を掴んだ阪口選手だからこその重みが感じられました。これには、昨年までSRS-Fの校長を務めていた中嶋悟さんの長男である一貴さんも苦笑い。
ともあれ、こうしてTOYOTA陣営に加入した新たな若手有望ドライバー阪口晴南選手。かつてカート時代から切磋琢磨してきた宮田莉朋選手と共に、今後どのような素晴らしい活躍を見せてくれるのか、期待せずにはいられません。
(H@ty)