■またもセーフティカーが入るSUPER GT2019
5月25、26日に鈴鹿サーキットで開催のSUPER GT 2019第3戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 3 SUZUKA GT 300km RACE」。
予選をぶっちぎりのタイムで激走しポールポジションを得たのは25号車 HOPPY 86 MC。
チーム運営の課題が山積で継続参戦が危ぶまれるという報道がなされていたHOPPY 86 MCですが、この状況を打破するためには成績で大きく目立つ必要があるという見方が多く、そのためにもこの鈴鹿では優勝を目指す以外の道がないと言われています。
天候は晴れ。それも真夏を思わせる30℃超えの気温と42℃にも達する路面温度でタイヤの選択がかなり重要となってくるところ。しかしSUPER GTでは予選で使ったタイヤをスタートで使用するというルールがあるため予選から決勝へ向けたタイヤチョイスが迫られます。
そんな難しい暑さの中、26日の14時30分、白バイ先導のパレードラップからのローリングスタートにより決勝レースがスタート。
65号車 LEON PYRAMID AMGがスタート前のウォームアップランでストップしてしまいピットスタートとなる以外は極めて問題なくスタートが切られます。ちなみにパレードラップから順調にスタートが切られたのは今シーズンでは初めてとなります。
序盤、レースをリードするのはHOPPY 86 MC。3周目までに2秒のアドヴァンテージを作り出していきます。
そこに続くのが96号車 K-tunes RC F GT3。地元岡山でハーフポイントながら優勝を飾っているためにこの鈴鹿でも優勝が欲しいところ。
そこに4番手から一気に3番手に浮上したのが61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT。鈴鹿との相性がいいといわれるSUBARU BRZ R&D SPORTも狙うは間違いなく優勝。
路面温度が高いこともありタイヤをいたわりながらのレースが続き大きな順位変動もないまま進んできたGT500クラスカウントの17周目、GT500クラスのマシンが130Rでオーバーランからの単独クラッシュ!これによりセイフティーカーが導入されます。
GT500クラスで52周というレース距離、その折り返しとなる23周目まで続いたセイフティーカー導入。そのセイフティーカーが解除となると各チーム一斉にピットへと飛び込んでいきます。
ここで勝負に出たのはHOPPY 86 MC。この猛暑の中、タイヤ無交換でピットを飛び出していきます。ここで築いた大きなマージンが残りの周回をどう左右するのか?大きな注目となります。
2番手のK-tunes RC F GT3はタイヤ4本交換でハイペースを維持する作戦。
SUBARU BRZ R&D SPORTはリアタイや2本交換でピット時間の短縮を図りHOPPY、K-Tuneを追いかけます。
ここで勝負に出たもう1台が5号車 ADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号。中盤の順位まで沈んでしまったポジションをタイヤ無交換作戦で一気に上位へ食い込もうというのです。
事実上2番手でコース復帰した ADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号ですが、その直後にコース復帰したK-tunes RC F GT3は4本ともフレッシュタイヤ。グリップに勝るK-tunes RC F GT3に ADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号はなす術もなく追い越されてしまいます。
そして無交換作戦でタイヤグリップが心もとないHOPPY 86 MCに追いついたK-tunes RC F GT3。
42周目のデグナーカーブでトップに浮上し、K-tunes RC F GT3はそのままチェッカーフラッグを潜り抜けます。これにより新田守男選手はGT300クラス最多勝を22勝に更新しました。
2位にはK-tunes RC F GT3に抜かれはしたもののその後順位をキープし続けた ADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号が入ります。
3位はリアタイヤ2本交換でピット時間を短縮し前との差を詰めた作戦が功を奏したSUBARU BRZ R&D SPORT。
4位には終盤ラスト10周まで34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3と激しい消耗戦の6位争いを繰り広げながらも、その後一気に順位を上げていったグッドスマイル 初音ミク AMGが入ります。
ピットでのタイヤ交換の作戦の違いが大きく順位を左右した印象の鈴鹿300km。まさに速さVS作戦という様相の頭脳戦だったのではないでしょうか。
今回も優勝はブリヂストンですが表彰台はタイヤメーカー3社が入り乱れる結果となり、この先の展開が非常に楽しみでなりません。
次戦は唯一の海外戦であるタイ。灼熱のタイで表彰台の一番高いところに上がるのはどのチームか?どんな作戦が飛び出してくるのか?次戦も目が離せません。
(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)