【フィアット500X試乗】新エンジンの投入でより上質となったコンパクトSUV

フィアットのコンパクトSUV、500Xがマイナーチェンジ。エンジンを変更するなどしてその魅力をアップしました。

フィアット500Xは見た目はフィアット500に共通性のあるものですが、その成り立ちはずいぶんと異なります。フィアット500はフォードKaとプラットフォームを共有するモデルですが、500Xはジープ・レネゲードと共有するモデルです。スタイリングからはコンパクトさが伝わってきますが、じつはそのサイズは意外なほど大きく、全幅は1795mmにもなります。

2015年のデビュー時には4WDモデルも用意されていましたが、マイナーチェンジによって4WDは廃止。FFモデルに統一されました。グレードはベーシックモデルとなる500Xと上級の500Xクロスの2つですがベーシックは受注生産となるため、500Xクロスが基本モデルと考えていいでしょう。

エンジンは従来の1.4リットルターボから1.3リットルターボに変更されました。最高出力は11馬力アップの151馬力、最大トルクは40Nmアップの270Nmになっていますが、それ以上に感心するのが吹け上がりのフィーリングのよさです。アクセルをスッと踏むと滑らかにエンジン回転が上昇し、回転に呼応してトルクがついてきます。

気持ちいい加速感を生んでいるのはエンジンだけが要因ではありません。フィアット500Xの加速フィールをよくしている最大の要因とも言えるのが、ミッションです。500Xのミッションはデュアルクラッチ式AT(DCT)です。基本構造がMTとなるDCTは伝達効率が高く、デュアルクラッチによって変速速度がクイックなので、シフトアップ時にいやな減速感がありません。きれいに吹け上がるエンジンとDCTの組み合わせは500Xに上質な加速感と巡航感を与えています。

(文/写真・諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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