サイプレスの車載用USB-CコントローラーがスマホやPCの急速充電を可能にした

●USB-C規格を活かした急速充電機能、最大20Vでの電源供給が可能に!

自動車メーカーやサプライヤーが採用するメーター表示用マイコンや車載用NORフラッシュメモリにおいてナンバーワンのシェアを誇る「サイプレス セミコンダクタ」。日本のメディア向けに「サイプレス オートモーティブ メディアディ」というデモンストレーションイベントを開催したので、参加してきました。

同社は家庭用のWi-FiやUSBコントローラーといった分野でもリーディングサプライヤーです。そうした強みを合わせたといえる車載用USB-Cコントローラーについて話を聞くことができました。

USB-C(USB Type-C)は新世代のUSB規格で、上下左右の区別がないコネクターであることや、ホスト側・デバイス側とも同じコネクターを使えることが特徴です。さらに充電規格も新しくなっています。「USB PD(パワーデリバリー)」という規格では最大100Wという高出力の電源供給が可能となっています。これにより従来のUSB規格では充電のできなかったパソコンや、スマートフォンの急速充電などができるようになったのです。

サイプレスが2018年秋に発表、2019年に出荷を開始した車載用のUSB-Cコントローラーは、この「USB PD」に対応しています。実際、デモンストレーションでも20Vで電源供給をしている様子を確認することもできました。

マイコンやフラッシュメモリといったサイプレスの主力製品は、まさに裏方といえるもので、実際にクルマを使うユーザーがその存在やありがたみを実感できるものではありません。しかし気がつかないうちに、こうした日常的に利用する電装品で同社の技術を享受しているのかもしれません。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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