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元F1レーサー&clicccarテストドライバーの井出有治さんが語る「○○5選」。前回は「レーサー井出有治を育てたクルマ5選」をお届けしました。今回は「とにかく楽しかった珍&名車3選」をいってみましょう。
速いとかスゴイとか超カッコイイ…とかではないけど、とにかく乗っているだけで楽しかったマイカーや家のクルマ。そして、そのクルマにまつわるいろんなことを聞いてみました。ヤバくて書けないことも多々…ですが(笑)、まずはコレ!
■P10プリメーラに乗れば気分はJTCC星野一義!
車両名:プリメーラ(初代のP10/ガンメタ/母のクルマ)
・FFだから雪道でも夏タイヤでOK!…じゃなかった事件
20歳代前半の頃に家にあり、母がメインで使っていたクルマがP10プリメーラ。
このP10プリメーラは一番ヤンチャに乗り回していましたね。雪が降ったらワ~イ!ってとりあえず走りに行き、雪の中を横向けて走って遊んでいました。交差点は全部サイド引き! 今思うと恐ろしいことしてましたねぇ(笑)。今のFF好きはこのP10プリメーラで走り回っていたのがきっかけかな。
ある日、スノーボードをやりにゲレンデへ。「FFには走れないコンディションはないから大丈夫!」っていう、自分でもなんだかよく分からない自信があったので、チェーンも巻かずに夏タイヤのままでGO! でもどんどん路面が凍ってきてゲレンデまであと数10mってところで前に進まなくなり、坂道を下がり始めちゃった!
あわててみんなでクルマを降りて押さえ、パーキングまで押していってタイヤを見たら…スリップサインどころかスリックタイヤみたいにツルッツル! オレ、とんでもないタイヤでこんなとこまで来ちゃったんだ…って初めて反省してみたりして!
その頃はJTCCの全盛期、カルソニックブルーのIMPULプリメーラとボクのP10とはだいぶ違うな~って思いながらも、P10乗っているときの気分は「星野一義!」でした~。
・P10プリメーラ=星野一義選手のカバン持ち時代
このP10プリメーラで遊んでいた1996年(21歳)、その頃ボクはカートからF3へ完全ステップアップしたく、でもチャンスや資金とかで悩んでいたんです。そんな時、たまたまオヤジの知人(板金屋さん)とIMPUL・金子豊さんが知り合いで「相談してみたら?」って金子さんを紹介してくれたんです。
IMPULへ行くと金子さんが「じゃ、今日から星野一義のカバン持ちやって!」と。その頃って今みたいにレーサーにドリンク渡したりレーシングスーツを乾すような専門の係っていなくて、メカニックの方が担当したりしていました。なので、その日からボクがその担当。それから1997年までの約2年間、JTCC、JGTC、フォーミュラニッポンのすべてのレースに帯同し、星野さんの身の回りのすべてをお世話するマネージャーをやらせてもらっていました。仕事内容は…。
【井出マネージャーの仕事】
・レースやテストの時は星野さんの家に行き、星野さんのシーマを運転してサーキットへ
・着いたらまずはガレージ前の掃き掃除
・ヘルメット磨きも
・終わったらレーシングスーツを乾したり
・当時は規則になかったアンダーシャツ代わりのTシャツ、短パン、パンツ、靴下が脱ぎ捨ててあるので拾って洗濯
・アライまでヘルメットを持っていってメンテナンスしてもらったり。
・タバコは常に2箱用意。ライターも予備で2コ用意してクルマに乗る直前までタバコを横で持っている。
このタバコがキャビンマイルドなんだけど、けっこうなヘビースモーカーだったからタイヘン! 乗る直前までバァ~と吸って、マスク被ってバァ~と吐いて、またバァ~って吸って、ヘルメット被ってバァ~って吐いて! スゴイでしょ!?
もちろんタバコ持って横にいるだけじゃなく、クルマに乗り込むときグローブを順番に渡して、降りてきたらヘルメットとグローブを受け取るのもボクの仕事。クルマから降りてくると「ゥワォ~!」って怒鳴ってるからコエ~って!
1996年は星野さんがフォーミュラニッポンを引退した年。そのラストイヤーを間近で一緒にいられたのは嬉しかったですね!
星野さんは「走り始めたらピットの中なんかいるなよ。コースサイド行ってオレの走りを見ておけ!」って、カッコイイ!! だから星野さんがピットアウトしたらコースサイドへ急いで行って走りを見ていました。無線は常に聞いているので、星野さんがピットインしそうになったら全開でピットに戻って!
しかし真冬のシーズンオフ・テストは辛かった~。真冬の富士スピードウェイは、コースサイドにずっといると凍え死にそうになるんですよ。でも星野さんが走っている間はコースサイドで原チャリにまたがったまま走りを見ている…凄い経験をさせてもらいました。
時を経て、2003年のJGTC GT500(スカイライン)、2004年~のフォーミュラニッポンでTEAM IMPULからエントリーできたのは、このカバン持ち時代があったからこそ…でもありますね。故・金子豊さんにも感謝です。
レーシングドライバーとして1番好きな星野一義選手のパンツ、あたしも洗いたかったデス(目がハート!)。次回「その2」は撮影きっかけでお気に入りになった「BMWミニ」のお話!
(語り:井出 有治/文:永光 やすの/画像:NISMO・オートスポーツ誌・井出 有治)
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