【モト・グッツィV85 TT試乗】こいつはバイク界のジローラモだ!? オシャレでユニークなイタリアン。

■個性的なキャラクターの源となるのは縦置きVツインエンジンというアイデンティティ

モト・グッツィはイタリアの老舗バイクメーカー。その歴史は1921年に始まる。翼を広げた鷹のエンブレムは、創設者の2人がイタリア空軍で出会ったことに由来している。

V85 TTでは、大きなデュアルヘッドライトの中心に、そのエンブレム状のLEDランプが輝くという粋な演出をしている。このことからも、V85 TTに対するメーカーの力の入れ具合が感じられる。

モト・グッツィの最大の特徴といえば、縦置き90度Vツインエンジンだ。エンジンの前後長を短く設定できるので車体設計の自由度が高いというメリットがある。一方で、クランクを車体の中心に置くためアクセルを開けると反トルクで車体が振られる特性がある。

とはいえ、その動きも回転を上げていくと気にならなくなり、直進安定性がグッと高くなる。V85 TTもその傾向はあるのだが、適度に調教されているので決して嫌な感じはない。むしろ、走り出す前はマシンが武者震いしているみたいで愛おしささえ感じる。

……とはいっても、V85 TTは道なき道を走破する「アドベンチャーツアラー」というカテゴリーに属しており、車体は大柄。見るからに手強そうな印象を受ける。身長166cm、純日本人体型のボクは、乗るのに少し気合が必要だった。

●走ってみると実に快適! コーナリングも楽しい!!

ところがだ。またがってみると想像とかなり違ったことに驚いた。確かにシートは高めだけど片方の足先が接地するので意外と怖さはなく、車体の重さも感じない。それどころか、クラッチをつないで走り始めると図太いトルクを発生するエンジン特性の効果もあって軽々と加速していくではないか。

縦型Vツインエンジン特有の振れもすぐに消え、高い直進性が顔を覗かせる。路面からの衝撃はよく動くサスペンションが吸収してくれるので、ライダーに余計な振動が伝わってこない。シャフトドライブによるクセもほとんど感じられず、エンジンからイヤな微振動が伝わってくることもない。実に快適なのだ。

では、コーナーリングが苦手かというと、それも良い意味で予想を裏切ってくれる。幅広のハンドルを操りながら荷重移動すると、ゆったり、でもなめらかに車体はバンクしていく。フロント19/リヤ17インチというタイヤサイズの影響もあってややアンダーステア気味だが、挙動が素直なので狙ったラインに乗せるのは容易。

S字の切り返しでは少しオーバーアクションにすると巨体がクイッと向きを変えてくれる。こりゃ楽しいぞ!

 

近年は多くのメーカーから発売されているアドベンチャーツアラー。それに触発されてモト・グッツィも慌てて参入してきたのかな……などと勘ぐっていた。

しかし、この走りの完成度の高さはホンモノだ。エンジンのパワーモード切り替えや長いストロークを持つサスペンション、そして低重心のおかげで、急な天候の悪化や路面状況の変化にもすぐに対応できて不安を感じにくい。見た目は無骨だけど実は相当フレンドリーな性格だ。

ソロでのショートツーリングからタンデムでの長旅までを十分にカバーしてくれるフレキシビリティも持ち合わせている。

わずかな時間のテストライドだったけど、このまま試乗会場に戻らずどこかへ行ってしまいたくなった。旅バイクって夢があってイイよねっ!

【SPECIFICATIONS】
モト・グッツィ V85 TT

全長×全幅×全高(mm):- × – × –
軸間距離(mm):-
シート高(mm):830
車両重量(kg):229
エンジン種類:空冷V型2気筒OHV
総排気量(cc):853
最高出力(hp/rpm):80/7750
最大トルク(Nm/rpm):80/5000
燃料タンク容量(L):21
ブレーキ(前・後):ダブルディスク・ディスク
タイヤ(前・後):110/80-19・150/70-17
車両価格:1,425,600円(プレミアムグラフィック)/1,398,600円(スタンダードグラフィック)

(文:横田和彦/写真・動画:ウナ丼)

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