4輪操舵システムである「4コントロール」を搭載し、「FFでもこんなに曲がるの!!」と心底驚かされる現行メガーヌ ルノー・スポール(R.S.)。5ドアの2ペダル仕様として登場し、裾野を大きく広げているのが特徴です。
一方で、MT仕様を望むエンスーも少なくないはずで、3月22日から100台限定で発売された「メガーヌ ルノー・スポール カップ」は、「4コントロール」やダンパー内に第2のダンパーを搭載した「4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール(HCC)」などはそのままに、6MT、ジェイテクト製のトルセンLSD(TORSEN Type-B)、強化されたバイマテリアル構造のフロントブレーキなどにより、パフォーマンスをさらに引き上げているのが見どころ。
100台限定の「メガーヌ ルノー・スポール カップ」にサーキットで試乗する機会が得られましたのでご報告します。279ps/390Nmというパワー・トルクはベース車と同じで、先述したようにシャーシ、ブレーキの強化がトピックス。
ベースのメガーヌR.S.に対し、スプリングレート(バネ定数)をフロント23%・リヤ35%、ダンパーの減衰力を25%高め、さらにはフロントアンチロールバーの剛性も7%高めることで、ロールを抑制し正確なハンドリングが可能になるとしています。
さらにジェイテクトのトルセンLSDはサイドギヤを分割し、結合部にワンウェイ構造のヘルカルスプラインを採用。左右輪のトルク配分を高め、トラクションやハンドリングを向上。アクセルオン時で差動制限が大きく機能しトルク配分比を高める一方で、オフ時は差動制限の効きを抑えることで最適なトルク配分、ドライバビリティ向上を実現するとしています。
さて、良好な路面であるサーキットで走らせても乗り心地に関しては、条件付きになるのはメガーヌ ルノー・スポール カップも同様。ベース車よりもシャーシを強化しながらも現行メガーヌR.S.の基本的な乗り味の良さ、マナーの良さがうかがえます。
操舵フィールは走行モードによりかなり異なりますが、横滑り防止装置が介入する「スポーツ」モードを選んでも、ドライバーにコントロールする幅を持たせてくれている印象で、お尻を振りながら意のままのライントレースが可能。予想よりもコントロール性が高く、これならオフタイムにサーキット走行を楽しむビギナーでも十分に楽しめそう。
また、ステアリングを切った状態でアクセルを踏み込んでも前に加速する様子が伝わってきて、コーナーでもアクセルを踏んでいけるトルセンLSD(TORSEN Type-B)の効果を実感。
なお、6MTのシフトフィール、クラッチペダルの操作性も現代的な洗練されたもので、ピーキーさはなく普段使いでもまったく問題なさそう。450万円という「メガーヌ ルノー・スポール カップ」。内容を考えると間違いなくバーゲンプライスといえます。
(文/写真 塚田勝弘)