ハイブリッド車初のコンパクトスポーツとして2010年2月に販売開始された、ホンダ・CR-Z。往年のコンパクトスポーツ、CR-Xの現代版モデルとして話題となり、日本カー・オブ・ザ・イヤーの2010-2011のイヤーカーに選ばれました。
そのCR-Zが初のマイナーチェンジを行った2012年9月26日、同時に発表されたのがM-TEC(無限)が手掛けた限定300台のコンプリートカー、CR-Z MUGEN RZ(アールズィー)です。
2012年当時、M-TECはCR-ZをベースとしたMUGEN CR-Z GTでスーパーGTへ参戦していました。活動していくうちに、サーキットで培ったノウハウを活かし「CR-Zをベースに誰もが熱い走りを楽しめるクルマをつくりたい」と思いに駆られ、実現させるために切磋琢磨が始まりました。そして、生まれたのが無限のレーススピリッツを込めた渾身の一台であるこのCR-Z MUGEN RZなのです。
CR-Z MUGEN RZのエクステリアは空力性能を求めながらもデザインの細部までこだわり、機能美と走りへの高揚感を高めるデザインを追求しています。空力パーツを追加したフロントバンパーやサイドスポイラー、そしてカーボンコンポジット制の中空構造のリアウイングなどにより、前後マイナスリフトを獲得。サーキットの高速コーナーでの高い安定感と定速コーナーの軽快なハンドリングを実現しています。
インテリアはボディカラーと同じ深いブルーのラックススェードを貼り込んだ専用アイテム。このシート表皮は上質な肌触りで滑るにくいためコーナリング時に高いホールド性を発揮します。さらにシフトノブにはブルーのラインに彩られたカーボン製。さらにブルーのイルミネーションを採用したブースト計を装着することで、レーシーな雰囲気が漂っています。
搭載されているパワートレインは高回転型1.5L直4VTECエンジンとモーターの出力を1.5倍にするリチウムイオンバッテリーを採用したIMAハイブリッドユニットに遠心式スーパーチャージャーを装着。レース用に開発されたコアを採用した高効率インタークーラーを採用により、エンジンの最高出力は156ps、最大トルク185Nmまでパワーアップしています。
専用の高効率エキゾーストシステム&コンピューター採用したパワーユニットには6速MTが組み合わされます。加えて、足回りも5段階調整式のサスペンション、鍛造アルミホイール、大径ブレーキなどで性能アップされたCR-Z MUGEN RZは、車両本体価格462万2400円で発売されました。
CR-Zの中古車は現在約600台流通していますが、発売されてから約6年半が経過した2019年3月時点でのCR-Z MUGEN RZの中古車の流通台数はわずか6台。現在の平均価格は254万円で、3カ月前の2018年12月時点が256万円だったのでほぼ横這いで推移し安定状態となっています。
中古車の価格帯は139.7万〜299.0万円とかなり幅広く、最も高価格の物件は走行距離がわずか1.1万kmというなかなかお目にかかれないレアなクルマもあります。販売開始から約6年経ってもまだ価格は新車時価格の半分をキープしている車両が多く、中古車はわずか6台しかないというのは知る人ぞ知るクルマだからでしょう。
無限の魂が詰まったハイブリッドコンパクトスポーツのCR-Z MUGEN RZ、手に入れるなら急いだほうが良さそうです。
(萩原文博)