BMW330iMSportはしっかりボディで家族みんなが乗れる疲れ知らずの上級ファミリーカー【井出有治 試乗】

レーシングドライバー&clicccarテストドライバーの井出有治さんに、話題の「新BMW3シリーズ」の最上スポーティ・バージョン「BMW330i M Sport」を試乗していただきました。

この日の神奈川県・大磯は超快晴! しかし、今回の試乗は撮影の都合上バイパス1区間を3往復ほどしか出来なかったため、ライト・インプレッションでお届けいたします。

【BMWらしいフットワークのしっかり感、健在!】

「M Sport専用色のポルティマオ・ブルーが快晴の大磯の海に映えますね! ボク、初めての大磯! 西湘バイパスって結構、路面の状態悪いんですね…」(井出有治さん)

井出さんは数ヵ月前まで先代のBMW M3に乗っていました。

「一番長く乗ったBMWが先代のM3(2台乗り継ぎ)なので、この新3シリーズとは比べられませんけど、M3って尖っているだけあって始動1発目ってかなりの音でうるさかったんですよ。でも、新3シリーズはさすがに静粛性がすごいですね!」(井出さん)。

井出さんはマイカーとして国産・外車合わせていろいろな車種に乗ってきたそう。

「そんな中でもBMWってクラス問わず好きなんです。ボディ剛性やサスペンションからくる『ハリ』みたいなものが『BMWらしいしっかり感のあるフットワーク』を活かし、安心して乗れるという感覚がありますよね! 試乗したこの新3シリーズ330iの足まわりはスポーツタイプのM Sportですけど、イヤなゴツゴツレベルではないし。今日は普通にバイパスを流しているだけですが、細かい路面のつなぎ目とか小さな段差を乗り越えるときのショックに対し振り返しもなくうまく吸収できているので、これなら長時間ドライブでもストレスをあまり感じさせないでしょうね」(井出さん)。

乗って、座って、スタートしてのイメージはどうですか?

「なんかさぁ、ステアリングがすごく太いよねぇ。市販のステアリングカバーを付けているみたい。でもまぁステアリングは太いほうが疲れないっていいますからね。ヘッドクリアランスやリヤシートに座ったときの膝前の余裕も十分。また、メーター回りも今風のデザインだし『BMW Operating System 7.0』は操作もしやすく情報も自然に目に入ってきます。第一印象では、BMWの新3シリーズは家族みんなが気軽に運転できる上級ファミリーカーっていう感じですね」(井出さん)。

■「最後の砦」としての運転支援システム

新3シリーズで新たに搭載されている高性能3眼カメラ、高性能プロセッサー、レーダーにより性能向上された「運転支援システム」のすべてを、この短時間の試乗で試すことができませんでした。

「それでも唯一、試してみた車線逸脱警告システム『レーン・ディパーチャー・ウォーニング』、コレって強烈にきますね! 最初はOFF、途中でONにしてみましたけど、どのくらいの強さのアシストがくるのかな?と思っていたら、イメージしていた以上にグッ!ときたので驚いちゃいました。誰かがステアリングを押さえているのかな?っていうくらいきましたよ!」(井出さん)

車線越脱警告システムのことをBMWのスタッフ曰く「身内の中では『お仕置きモード』って呼んでいるんです!」。ちょっとウケました!

井出さんのインプレッションからはちょっと外れますが、私が今回の試乗会で一番「さすがBMW!」と感じたのは、この運転支援システムに対するBMWの考え方です。

いまや全世界のメーカーが運転支援システム系の開発をしています。「私たちBMWは人間がクルマを扱う中で、最後の最後…もうダメだ!となったときの『最後の砦』としての運転支援システムと捉えています。しかし、中には「よそ見運転支援」システムかのように謳っているようなメーカーも…。ソレ、ダメでしょ!と思うんですよ…」、この一言を聞いたとき、私は心の中で大拍手をしていました!

難しいことは自動車評論家の先生方にお任せしますが、いちユーザーから思うと、車線越脱警告システムや衝突回避ブレーキなどは「自動運転への第一歩!」と捉えがちです。しかし、BMWのいう「最後の砦の運転支援システム」からくる、けっこうきつめのアシストが入る「車線越脱警告システム」は、「コラッ! ちゃんと前見てしっかり運転しなきゃダメでしょ!」という「お仕置きモード」! 私もお仕置きされないような運転を心がけたいものです。

また、今回からはこの車線逸脱警告システムはアクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付き)と同時に起動するようにしたそうです。

「どちらも高速道路走行時に必要なシステムでしょうから、ひとつのセットで2システムが起動するのは良いですね!」(井出さん)

■ドライブモードで加速を楽しむには、エンジンパワーは必要十分!

ドライブモードは「スポーツ」「コンフォート」「エコPRO」、そしてアダプティブMサスペンション装着車のみサスペンションやステアリング、8MTの設定を自動で調整してくれる「アダプティブ」モードがあります。が、アダプティブは今回の試乗では「ン〜全く違いが分かりませんでした…」。井出さん、今日はUターンはしたけどコーナリングはひとつもしていないんですからOKです!

「コンフォートでアクセルを開けた瞬間、ターボラグなのか一瞬間があるのがちょっとヘンな感じでしたけど、スポーツはさすがにいい感じの加速感でした。直4・2Lターボの258psですからね。街中はエコPROで、高速を流す時はコンフォートで、そしてスポーツにして高速の加速感を楽しむ。試せてはいないけどワインディングではアダプティブが面白そうかな?と思うし。そうやってモード変更をしながら幅広く、楽しく使えるクルマになっていると思います」(井出さん)。

バリアブルレシオのステアリングは…なにか感じましたか?

「ちょっとS字っぽい近い距離で右→左と曲がるところで若干、ステアリングが切り遅れるというか、自分のタイミングでステアしたときカタチに合わせて入る感じがあったのでそこは正直、自分の中では違和感を感じる部分ではありましたね。これもまた、ワインディングとかで確認してみたいです」(井出さん)。

■BMWのブレーキは素性ニジュウマル!

「いろんなことが試せなかったけど、ただブレーキングはすごい良かったですよ。最後、4人乗車で…まぁスピードは出していないけど、普通に街乗りの感じで踏んでも十分過ぎるくらいに効いてるなって思いました。普通、大人4人乗車だともうちょっと重さを感じてタッチが変わりますからね。これもまたワインディングやサーキットで、その先のブレーキングパワーを試してみたいです!」(井出さん)

1980〜90年代だったか「六本木のカ○ーラ」と揶揄されていたほど、外車入門用の代表格だったのがBMW3シリーズ。いまやひとまわり大きくなり、フェイス変更を受けても誰もがパッと見で「BMW!」と分かる安定の定番ファミリーカー、それがBMW3シリーズ。今後は直6やツーリング、また最強「M」も登場するとか。バリエーションが楽しみです。

(試乗:井出 有治/文:永光 やすの/写真:小林 和久[clicccar編集長])

【主要諸元】
モデル BMW330i M Sport
全長/全幅/全高(mm) 4715/1825/1430
ホイールベース(mm) 2850
トレッド 前/後(mm) 1585/1570
最低地上高(mm) 125
車両重量(kg) 1630
ステアリング形式 ラック&ピニオン式 車速感応式パワーステアリング
ハンドル 右
定員(名) 5
燃料消費量 JC08モード(km/L/参考値) 15.2
エンジン型式 B48B20B
エンジンタイプ 直列4気筒 DOHC(ターボチャージャー付き)
排気量(cc) 1998
最高出力(kW[ps]/rpm[EEC]) 190[258]/5000
最大トルク(N・m[kgm]/ rpm[EEC]) 400[40.8]/1550〜4400
駆動方式 後輪駆動(FR)
トランスミッション 電子油圧制御式8速AT
変速比(1/2/3/4/5/6/7/8速/後退) 5.250/3.360/2.172/1.720/1.316/1.000/0.822/0.640/3.712
最終減速比 2.813
懸架方式(前/後) ダブルジョイントスプリングストラット式コイルスプリング/5リンク式コイルスプリング
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤ(前/後[純正サイズ]) 225/45R18/255/40R18
ホイール(前/後[純正サイズ]) 7.5J-18 M ライト・アロイ/8.5J-18 M ライト・アロイ

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この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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