GT300 BRZが2019年モデルに進化。「タイヤに無理をさせない」ことでシリーズ制覇を目指す

【全力を出しきって勝利を目指す。信頼性と確実性をアップさせたGT300 BRZ】

2019年3月10日、富士スピードウェイにて「STI MOTORSPORT DAY」というイベントが開かれました。STI(スバルテクニカインターナショナル)創業30周年を記念した大イベントで、富士スピードウェイ本コースやパドックがスバル一色に埋まりました。

この「STI MOTORSPORT DAY」におけるコンテンツのひとつとして行なわれたのが「GT300 BRZ」の公開シェイクダウンです。ご存知のように国内最高峰のツーリングカーレースであるスーパーGTのGT300クラスに出場するのが、この「GT300 BRZ」です。2018年は1勝をあげるもののリタイアも多く、シリーズ全体としてはポイントを稼ぐことができませんでした。

公開シェイクダウンにあわせて発表された2019年モデルの進化ポイントは、確実性や信頼性を向上させることに主眼が置かれている印象です。

まずエンジンでは、設計・製造・運用管理など抜本的に見直しを図っています。ターボ制御技術を改善することで、高回転まで一気に吹け上がるよう進化したといいます。これにはモチュール製の低フリクションオイルの導入もひと役買っていることでしょう。さらにギア比の設定も見直しています。

シャシー系では高G域におけるアンダーステアの改善、タイヤ接地圧の向上を目指しています。具体的には車体剛性の前後バランスやサスペンションジオメトリーの最適化、内輪接地荷重が向上するよう変更が施されました。

大きく進化したのはエアロパーツです。これまでBRZはGT300クラスの中でも最高速に弱点があるとされていました。そこでCdを低減(マイナス6%)、CLを向上(7%)を目指しています。発表されたポイントは、バルジ状フェンダー、新カナード、フロントスプリッター改良の3点です。これらフロントの改善によりリアウイングへの流れがスムースになり、ダウンフォースを有効に活用できるようになったということです。

また、スーパーGTはドライバー交代のあるレースですから、ピットでのロスタイムを減らすことも勝利には必要です。2019年モデルのGT300 BRZでは燃料タンクの配管やレイアウトを見直すことで給油時間を短くできるよう工夫しています。さらにタイヤメーカーと共同で、タイヤを交換せずに300kmのロングスティントが走れるように改善しています。

そのポイントとなるのが「タイヤマネージメントの見える化」です。サーキットの各コーナーにおけるタイヤ負荷を数値化することにより、タイヤの仕事量とタイムへの貢献度を明確にしています。これにより「タイヤに仕事させているわりにはさほどタイムにつながらない」といったコーナーやシチュエーションを明確にすることができます。どこでどのようにタイヤを使うのが全体としてベストなのかを情報共有することで確実にチェッカーを受け、シーズン全体としての結果につなげようというわけです。

(写真提供:SUBARU 文:山本晋也)

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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