数字で見る、降雪地域での「スバル・AWD」の評価とは?【スバル雪上試乗会・その1】

●スバルAWDの生まれ故郷ともいえる月山でスバルAWDの実力を体感する

スバルは2016年からメディア&ジャーナリストを対象に「スバルテックツアー」という勉強・試乗会を開催しています。このテックツアーは、クルマ単体の試乗では得られない、さまざなことまで体験できるプログラムで、過去には航空部門の工場見学や歴史講座なども開催されました。

10回目となる今回はJR山形駅から庄内空港までの約200kmをドライブするというもの。そのなかで寒冷地に対するスバルの総合性能を感じて欲しいという意図です。

試乗前日に新幹線を使って山形駅まで移動しました。福島駅で切り離し作業が行われ、山形へ向かいはじめると車窓から見える風景が一気に雪景色となってきます。その深さは徐々に増し、これから向かう山形の雪深さを予想させます。

が……新幹線を降り、山形駅を出るとあたりには雪はなく、道路はちょっと濡れているところがある程度。例年に比べると市内の降雪は少ないとのことでした。そして市内を歩いていると、なるほどたしかにスバル車を見かける機会が多いです。

スバルの試乗会で出向いているので気になるという面もあるかもしれませんが、「おっ試乗車かな?」と思うと、地元ナンバーであったりします。これは面白い現象だなと思いつつ、プレゼンテーションを受けました。

2018年9月時点でのスバルの登録車シェアは日本国内全体では2.90%となっていますが、これが東北地方に限定すると3.62%、山形県限定だと3.70%に増えます。スバル車のAWD比率は世界で98.0%、国内だと87.4%(ともに2018年暦年)となりますが、東北地方に限定すると94.4%、山形県だと95.4%(ともに2017年度)と上昇します。FRしか存在しないBRZを除けばその割合はさらに高くなることでしょう。

今から47年前、国産初の乗用4WD(当時はAWDという表現をしていなかった)の開発は、山形県の月山を舞台に行われたといいます。つまり、山形そして月山地域はスバルAWDの生まれ故郷とも言える場所なのです。また、2000年以降の歴代最深雪ランキングでは、2013年の青森県酸ヶ湯の566cmに次ぐのが2018年の山形県肘折の445cmと、山形はかなり雪深い土地柄であることがわかります。

さて、試乗です。まずはスバルのフラッグシップモデル「レガシィアウトバック」に乗って、山形駅から肘折温泉までの行程です。

(文・諸星陽一/写真・前田恵介)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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