RX-7のご先祖・コスモ スポーツは操作系が独特【JCCAニューイヤーミーティング2019】

毎年新春恒例のJCCAニューイヤーミーティング(日本クラシックカー協会主催)が開催されました。お台場を会場としたこのイベント、実は今年が最後の開催ということで例年以上の盛り上がりを見せていたのが印象的です。

さてそんな会場で気になるモデルを見つけたので紹介します。マツダ・コスモスポーツです。

1967年に登場したこの2シータースポーツカーは、マツダが世界で初めて量産に成功した2ローター・ロータリーエンジンを搭載していることが大きな特徴です。このロータリーエンジンの開発は1961年に始まったのですが、製品化までにはそれから6年もかかっています。

特に問題だったのはローターハウジングに発生してしまう波状摩耗と呼ばれるスジ傷だったそうです。これに対してマツダは高強度カーボン材にアルミを含ませたアペックスシールを開発することで対応したという経緯があります。これには独自の考え方でクリーンディーゼルや高圧縮レシプロエンジンを開発した現在のマツダに通ずる、フロンティア・スピリットを感じますね。

こうして完成したロータリーエンジンを積むのは、全長4140mm・全幅1595mm・全高1165mm(初期モデル)というコンパクトで低く流麗なボディ。L10A型エンジンは総排気量491cc×2から最高出力110psを発生していて、940kgと軽めのボディを最高速度185km/hまで引っ張ります。また、0-400m加速は16.3秒とかなりの俊足でした。

撮影した車両は宇野哲夫さんが所有する後期型。改良されたL10B型エンジンを搭載したモデルで、出力は128psとなっています。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リヤはドデオン・アクスルと呼ばれるものが採用されています。これはデフケースは車体側に固定し、ドライブシャフト以降を自由に動かすというコンセプトのもの。ばね下重量が軽くなりハンドリング特性が良くなることが特徴です。

室内に目を移すとまるで航空機を思わせるような精悍なデザインが目を引きます。各種計器が整然と並ぶ中、見慣れないスイッチを発見しました。

交通標識の「警笛鳴らせ」の青いマークの色違いと思える赤ボタンがスピードメーター左に備わっているのです。実はこれ、ハザードランプ用のスイッチでした。

また、その左下には「HORN(ホーン)」と書かれたトグルスイッチが備わっています。このスイッチを操作するとホーン=クラクションが鳴るというわけではなく、これはホーン音量調整スイッチ。

ホーンの市街地モードと郊外モードをこのスイッチで使い分けるというもの。市街地モードにしておけば、ステアリング中央のホーンボタンを押してもクラクション音が控えめになるというものでした。細かい配慮!

このようにコスモスポーツはエンジンもサスも、そして操作系統も珍しいものづくしで構成されているといった感がありました。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
続きを見る
閉じる