【デトロイトモーターショー】新型スープラの開発責任者・多田哲哉氏が明言。前後重量配分50:50なのは4気筒だ

●廉価モデルと侮るなかれ。4気筒モデルの「重量バランス」は6気筒モデルに優る!

いよいよ市販モデルが公開された新型スープラ。ハイパワーエンジンを積んだ後輪駆動のスポーツカーの登場に、期待するなっていうほうが無理ですよね。

そんな新型スープラに関して、公開された公式情報を見て驚いたのが4気筒エンジン搭載車をラインナップすること。これまで歴代のスープラは直6エンジンだけを積んできたので、4気筒エンジンを搭載するのは史上はじめて。

197馬力のベーシック版と258馬力の高出力版があり、いわば「ターボ付きの86」のような感覚。340馬力を発生する6気筒エンジンに比べると動力性能では劣るものの、開発責任者を務めた多田哲哉氏は「廉価版と思って欲しくない。4気筒には4気筒のよさがある」と言います。

その良さとは「軽さ」とそれに起因する「前後重量バランス」。

明らかになった日本仕様のスペックを見ると6気筒エンジンを積む「RZ」は車両重量が1520kgあるいっぽう、4気筒の高出力版「SZ-R」の重量は1450kgと70kgも軽く、その違いがエンジン……すなわち車両前部の重さの差となっていることが推察できます(ちなみに「SZ」はさらに40kg軽いですが、それは「タイヤ&ホイールを主とした装備品の重量差」とのこと)。

その結果として起きているのが、6気筒モデルと4気筒モデルの前後重量バランスの違いで、多田氏によると「前後重量配分50:50を実現しているのは4気筒。6気筒はフロントがやや重い」と言います。そして「その重量配分の違いにより、4気筒はより動きが軽快。下りの峠道なら4気筒のほうが楽しい」そうです。

確かに、出力の数値だけを見ると直列6気筒エンジンに対して4気筒エンジンは見劣りします。しかし、258馬力といえばFRスポーツカーのドリフトマシンとして名高いS15型シルビアと同等であり、走りを楽しむにあたって十分とも思える数値。そう考えれば新型スープラは4気筒エンジンに注目なのかもしれません。

もちろん、絶対的な動力性能、そして音やフィーリングといった官能性は6気筒が大きく勝りますが。

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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