【ホンダ・インサイト試乗】「スポーツカー生まれで5ドアHB育ち」のHVセダンは日本で受け入れられるか?

●「真面目に作られたクルマ」ホンダ・インサイト

初代登場時は3ドアHBのスポーツカー、2代目は5ドアハッチバック、そして新型はベーシックなノッチバックセダンのクルマってな〜んだ? というなぞなぞができてしまう不思議な歴史を持つのがホンダのインサイトです。

新型インサイトは全長4675mm、全幅1820mm、全高1410mmという堂々とした3ナンバーサイズで登場しました。同社のアコードは全長4945 mm×全幅1850 mm×全高1465 mm、アコードのライバルとなるトヨタのカムリは全長4885 mm×全幅1840 mm×全高1445 mmです。全長こそ大きな差がありますが、全幅に至ってはインサイトとカムリの差は20mm、つまり左右で1cmずつという僅差です。

インサイトはアメリカではCセグメントに属するとホンダでは言っています。つまりカローラなどと一緒ということです。うーんではあります。しかし、アメリカや中国といった大きな販売ボリュームを持つ地域では、全幅の差なんて大して問題にならないってことです。

さて、新型インサイト。搭載されるパワーユニットは1.5リットルの直4エンジンにモーターと発電機を組み合わせたi-MMDというシステムを採用しています。よく2モーターハイブリッドと表現されるので、2つのモーターが付いていると思われがちです。モーターも発電機も見た目は一緒なので、2モーターという表現が行われますが、機能的にみると1モーター、1ジェネレーター(発電機)というシステムです。このうちモーターは回生時は発電をしますが、ジェネレーターは発電しかしません。

試乗会のスタート地点は地下駐車場でした。発進時はモーターだけでのEV走行です。さまざまなノイズが反響する地下駐車場ですがさすがにEV走行では静かで、その恩恵を受けます。同じ駐車場でトラックがエンジンを始動してスタートして行きましたが、そのプロセスの差はなんとも象徴的でした。

駐車場から出るには料金ゲートを通る必要があります。比較的新しい建物で、ゲート自体も広かったのですが、フロントの見切りがいいことに助けられてスッと料金機に寄せられます。絶対的なサイズの大きさはあるのですが、新しいビルの駐車場のように広めのスペースで作られている場所では使い勝手の悪さを感じることはありません。

一般道の試乗ではかなりいいフィーリングを得ることができました。バッテリーの充電状況にもよりますが、40km/h程度まではエンジンが始動しないEVモードでの走行となります。EVモードではエンジンに起因する振動やノイズがないのでその静粛性はかなり高いものとなります。

アクセルを踏み増すなどすればエンジンが始動しますが、その際の振動ノイズも気になりません。そして70km/h程度までは基本モーターが駆動力です。エンジンはそのモーターを動かすための電力を発電している状況です。ですからアクセル操作に対する速度の増減は敏感でリニアです。

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
続きを見る
閉じる