【新型インサイト試乗】復活のインサイトは、見ても乗っても「HVらしくない」自然さが魅力

さて実際に乗ってみましょう。

特筆すべきなのはそのエクステリアやインテリヤから受ける印象そのままに、乗り味も「いかにもいハイブリッドらしい(モーターを意識させるような)」走りをしないところです。トルクの出方が急激ではなく自然な形になるよう調律されています。

途中でエンジンがかかる場面もあるのですが、その音は非常に小さいため意識していないと気づきません。

バッテリーでのモーター駆動、エンジンが発電しながらのモーター駆動の相互の移行がシームレスに行われるため、ドライバーはストレスなく運転することができます。

この、ある意味「エンジンをモーターのように」滑らかに制御できた背景には、ハードとソフト両面での技術進化があります。

ハード面においてはパワートレイン系ノイズを低減させるため、エンジンサイドマウントやフレームの素材・形状を工夫しました。加えてエンジン振動を受けて震えるエアコンホースなど、二次的な振動要因部分に関しても解析して対策しているのです。

ソフト面においては「加速時エンジン回転数最適制御」という対策がなされています。これはドライバーが加速したいと思ってアクセルを踏んだ際、運転者が感じる加速感とエンジン音の盛り上がりにズレが生じることでの違和感を減らそうというものです。

従来の制御ではハイブリッドドライブモード時に燃費だけを優先するため、ドライバーの加速操作とは必ずしもリンクしないエンジン回転数の上昇やエンジン音の上昇が起きていました。これを(厳密に言えば燃費が多少ロスするかもしれないけれど、それでも)人間が自然に感じるようにタイミングを調整していったのです。もちろん、一般的な遮音・吸音対策もしっかり行なっています。

こうした車体側と制御側のきめ細かい調律によって、いかにもハイブリッド的な角のあるところをそぎ取り、自然さを生み出していったのです。

こうして3代目インサイトは、どの速度領域でもアクセル操作に対して自然かつトルクフルな走りを見せてくれるのでした。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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