【東京オートサロン2019】メーカー系デザイナーに突撃インタビュー。ホンダアクセス「TRIP VAN」は、使い込んでこそ輝くクルマ

●使い込んでいく中でより魅力が増してくるクルマ・ホンダアクセス「TRIP VAN」

今年も大いに盛り上がった「東京オートサロン2019」。今回はメーカー系ブースで気になったグッドデザイン5台について、担当デザイナーに突撃インタビューを敢行。4台目はホンダアクセス「TRIP VAN」に突撃です!

── 最初に発想のキッカケを教えてください

「僕自身、北米の西海岸やオーストラリアなど、趣味でサーフトリップをすることが多いんですが、そこで目にした80年代のバンカルチャーがとてもよかった。で、これを日本に持ってくるならサイズ感として軽が合っていると思い、N-VANをベースにしました」

── デザイン上のテーマは何か掲げましたか?

「はい。使い込んでいく中でより魅力が増してくることを念頭に進めました。一般的には、新車のピカピカな状態がいちばんいいとされるのですが、そうじゃなくて、これからどうやってこのクルマを使っていくのかを想起させるのが重要だと」

── フロントではグリルとバンパーが専用になっていますね

「このクルマは道具箱をイメージしていて、フロントではグリル内やバンパーも含めすべて四角形で揃えています。バンパーは軍用車に使われる特殊塗装を施していて、たとえば砂浜などで衝撃を受けても対応できる作りにしています。この塗料が重いので、実はバンパー周りはカーボンを使っているんですよ」

── ホイールは、あえてスチール(鉄)に戻しているんですか?

「はい。ただ、それでは錆に弱いので、錆止め材をかなり厚く塗っているんですね。一方でセンターキャップはちょっと遊んでウッドを使っていまして、メーカーロゴは焼き印なんです」

── リアを全面特殊塗装でブラックにしたのはなぜですか?

「実はオリジナルのリアパネルは結構薄くて、ルーフに人が乗るとしなってしまう。その強度確保のためが着想のキッカケですね。また、ラダーをブーツで上がるときなど、汚れへの対応も兼ねています」

── ボディの淡いイエローとブラックとの対比が面白いですね

「そこは意識したところですね。イエローは元気を感じますが、風景とのマッチを考えて彩度を落とし、かつマット塗装にしています。また、かなり背の高いクルマですから、下半身にブラックを使って安定感を出しつつ、ボディ全体を引き締めています」

── インテリアのテーマも基本はボディと同じようですね

「はい、使い込むことを前提としていますね。ステアリングは本木を使い、センターキャップはホイール同様焼き印です。ドア内張りは圧縮木材を使っているので、NC加工も容易なんですね。シート地はレザーで、80年代のベンチシートをイメージしたものです」

── インテリアの道具感はかなりのものですね。本日はありがとうございました

[語る人]
株式会社ホンダアクセス
商品企画部 デザイン
渡邊岳洋 氏

(インタビュー・すぎもと たかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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