世界文化遺産・宗像三女神を祀る宗像大社(福岡)【車中泊女子の全国縦断記】

●我が国の祈りの原形を今に伝える古代祭場が残る宗像大社

福岡県の宗像大社(むなかたたいしゃ)は、沖ノ島の沖津宮(おきつぐう)、筑前大島の中津宮(なかつぐう)、宗像市田島の辺津宮(へつぐう)の三社の総称で、全国の宗像神社・厳島神社および宗像三女神を祀る神社の総本社です。2017年7月に【『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群】の構成資産のひとつとして、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。

今回は、宗像大社(辺津宮)の見どころを参拝順路に沿ってご案内します。

第1駐車場にクルマを停めて、大鳥居をくぐります。駐車場は3ヶ所あり、第1駐車場 700台、第2駐車場 200台、第3駐車場 100台! すべて無料です。

二の鳥居をくぐると左手に手水舎があります。一枚岩をくり抜いて造られた手水鉢には柄杓がありませんので、流れ落ちる水を直接、手で受け清めます。

神門をくぐると、正面に真新しい拝殿が。2014年12月、実に43年ぶりとなる本殿遷座が行われました。

拝殿は切妻造妻入(きりづまづくりつまいり)杮葺(こけらぶき)、本殿は五間社両流造(ごけんしゃりょうながれづくり)杮葺。どちらも国指定重要文化財です。市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)が祀られています。

本殿を囲むように22の社殿に121の末社が鎮座しており、その由緒は古代の律令制度にまで遡ります。大化の改新により公地公民となりましたが、「神郡(しんぐん)」と定められた地域にのみ神社の私有が認められ、全国の有力神社7社(伊勢神宮 内宮・外宮、安房神社、熊野大社、鹿島神宮、香取神宮、日前・国懸神宮、宗像大社)は「八神郡」と称されました。

九州では唯一、宗像のみが神郡と定められ、その「神郡宗像」内に祀られた各神社を集合奉祀したものが現在の末社群で、現在の社殿は江戸時代前期(延宝3〜4年頃)にかけて整備されたものです。

ご神木は、こちらの楢(ナラ)の木。宗像大社の神紋は、表紋が「菊の御紋」、裏紋を「楢の葉紋」としています。案内板には「樹齢およそ550年」と明記されていますが、10年以上前から掲げられている看板なので560年は超えたでしょうか。

ご神木の脇から「鎮守の杜の道」へ入ってすぐ、左手に鎮座する松尾神社と蛭子神社を過ぎて左折すると鳥居があり、その鳥居の左側にもご神木・相生(あいおい)の樫が仲良く立っています。二本の幹から伸びた枝が仲睦まじく交差し合った連理の樹木は、太古より男女の絆を深め、恋愛が実り末永く夫婦円満の福徳があると言い伝えられています。

相生の樫から鳥居をくぐって左へ曲がると、第二宮(ていにぐう)・第三宮(ていさんぐう)が鎮座しています。ちなみに先ほどの辺津宮は「第一宮(ていいちぐう)」と呼ばれています。

【宗像三女神(宗像三神)】とは、以下の三柱の女神様のことです。
・辺津宮(宗像市田島 – 総社): 市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)
・沖津宮(沖ノ島): 田心姫神(たごりひめのかみ)
・中津宮(筑前大島): 湍津姫神(たぎつひめのかみ)

第一宮には市杵島姫神、第二宮は沖津宮の田心姫神、第三宮は中津宮の湍津姫神が祀られています。第二宮・第三宮を詣でることにより、沖津宮・中津宮をも拝したことになるとされていますので、是非お参りください。特に沖津宮(沖ノ島)は立ち入り禁止ですので、宗像三社を直接参拝することは残念ながら不可能です。

相生の樫のある鳥居まで戻り左折、石段を登って高宮祭場へ。こちらは「悠久の道」と名づけられています。行き止まり、写真の左側が高宮祭場です。正面の建物には、お神籤などがあります。

ここが、宗像三女神の降臨地と伝えられる高宮祭場。沖ノ島と並び我が国の祈りの原形を今に伝える全国でも数少ない古代祭場です。

宗像大社は、またの名を「道主貴(みちぬしのむち)」といい、「貴(むち)」とは最も高貴な神に贈られる尊称で、【日本書紀】には宗像三女神が「道主貴(みちぬしのむち)」、すなわち国民のあらゆる道をお導きになる最も尊い神として崇敬を受けたことが記されています。ちなみに伊勢神宮=おおひるめのむち、出雲大社=おおなむち、です。

進路にお悩みの方は、ここでお神籤を引いてみてはいかがでしょうか。よきアドバイスが隠されているかも知れません。

【宗像大社】
住所:福岡県宗像市田島2331
電話:0940-62-1311(代)
駐車:第1駐車場 700台、第2駐車場 200台、第3駐車場 100台(すべて無料)
時間:6時〜17時(ご祈願は9時〜17時)

月次(つきなみ)祭は毎月1日と15日、春季大祭は4月2日、秋季大祭および高宮神奈備(かんなび)祭は10月3日開催です。

お時間があれば【神宝館】も拝覧ください。営業時間:9時〜16時30分(最終入館は16時まで)、入館料は大人800円、高校・大学生500円、小・中学生400円、幼児無料です。

宗像大社から北へ約2kmほどの海沿いに【道の駅むなかた】があります。玄界灘の海産物や宗像産の農作物が豊富で、漁家料理と農家料理の両方が味わえます。参拝のついでに、お食事やお買い物を楽しまれてはいかがでしょうか。

道の駅むなかた
住所:福岡県宗像市江口1172
電話:0940-62-2715
駐車:普通車 台/大型 台/身障者 台
営業:9~17時(10月~5月)、8時半~17時(6月~9月)
休館:毎月第4月曜日(祝日の場合は翌日)

日帰り入浴には、宗像大社から西へ約9kmほどの海沿いに【潮湯の里夕陽館】があります。地下から汲み上げた海水を温めた「潮湯」で、海水に含まれるミネラル成分が身体組織を活性化するといわれています。浴室からは海が一望でき、その名の通り水平線に沈む夕陽を堪能しながら一日の疲れをゆったり癒せます。

潮湯の里夕陽館
住所:福津市津屋崎1丁目37-17
電話:0940-52-3353
営業:(施設)9〜21時、(入浴)11〜20時
定休:火曜日
入館料:200円(浴場、大広間、サンルーム、トレーニング室が利用可能)

(松本しう周己)

【関連リンク】

宗像大社
http://www.munakata-taisha.or.jp/

この記事の著者

松本しう周己 近影

松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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