【東京オートサロン2019】メーカー系デザイナーに突撃インタビュー。「ジムニー・シエラ PICK UP STYLE」は大人の趣味を満たすホビー感覚

●「ジムニー・シエラ PICK UP STYLE」は「大人、本気、ホビー」を体現する1台

今年も大いに盛り上がった「東京オートサロン2019」。今回はメーカー系ブースで気になったグッドデザイン5台について、担当デザイナーに突撃インタビューを敢行。3台目はスズキ「ジムニー・シエラ PICK UP STYLE」に突撃です!

── 最初にコンセプトを教えてください

「今回のスズキブースのテーマは「大人、本気、ホビー」なのですが、都会から地方に移り、DIYで生活を楽しみたい大人のイメージですね。もともとホビー的な要素の多いクルマですから、シエラの開発時点から何となくこうした考えはあったと思います」

── フロントでは、グリルやバンパーがオリジナルと異なりますね

「実はグリルは純正用品なんです。バンパーは全面専用なんですが、ホイールアーチと合わせ「しぶき塗装」という、一旦表面を滑らかにした上でマットを吹き、そこに光沢のある特殊な塗装をしています。また、サイドボディのウッドはリアルパネルで、ベースの上に本物を貼っているんです」

── サイドボディは、ドアまでがオリジナルですか?

「はい。ドアの後ろは、実はオリジナルボディの後端部分を切って持ってきているんです。ホイールベースは同じですが、荷台を付けたことで全長は300ミリ延びました。リアバンパーもオリジナルをベースとして一部変更したものです」

── 荷台部分の長さは何か基準があったのですか?

「いえ。もともとはキャリーの荷台を利用したのですが、いざ載せてみると、オーバーハングの長さのバランスが非常に難しくて(笑)。そのままだと長いし、短くするとバランスはいいものの、オリジナルとの違いが希薄になってしまう。ここはCGで何度となく調整したところです」

── インテリアはアメリカン・カジュアルな雰囲気です

「このクルマはそもそもファッションからインスピレーションを得ていて、シート生地などはアメリカンなネルシャツのイメージですね。ルーフやホイールをホワイトにしているのも、女性からは「ジムニーはカワイイ」という声もあって、じゃあ彼女たちが横に立っていて似合うカラーにしようと考えました」

── スズキの特別仕様はどれも「この手があったか!」という魅力に富んでいるのが印象的ですね

「特別仕様車はスズキにとって非常に重要な位置付けで、とくにカラーデザイン部は、仕事の半分は特別仕様車くらいの熱意を持っているんですね。それがやりがいにもなっている。その辺は、かなり他社と違うかもしれませんね」

── CMFデザインが活躍とは興味深いですね。本日はありがとうございました

[語る人]
スズキ株式会社
四輪商品・原価企画本部
四輪デザイン部 エクステリア課
課長代理 宮澤貴司 氏

(インタビュー・すぎもと たかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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