【週刊クルマのミライ】消費税アップの2019年、自動車税の減税でオトクになる1.0リッター以下のクルマは?~国産車編~

【2019年の「税」を考える】

■恒久的な減税なれど現状での恩恵は…

株価が大きく下がるなど景気のネガティブさが感じられる2018年の年末でした。このタイミングで、2019年に消費税をアップするのは景気を悪化させるという見方もあります。ぜひとも消費税について見直してほしいところですが、2019年10月に消費税率がアップしてしまうことは既定路線だったりします。仮に消費税率が引き上げられたとして、そのタイミングで新車を購入した自動車ユーザーの負担する自動車税については最大4500円引き下げられる方針であると報じられています。しかも暫定的な減税ではなく、恒久的な自動車税の改正というのがポイントです。

ただし、大きな自動車はぜいたく品という考え方は残っているようで、1.0リッター以下の自動車税は4500円減税、1.0〜1.5リッターの自動車税は4000円減税といった具合に、排気量が小さいほど減税(税額の見直し)の恩恵を大きく受けられるという税制になる模様。つまり、自動車税改正のうま味を受けることができるのは1.0リッター以下(現在の自動車税は2万9500円)のクルマということになるわけです。

コンパクトカーのことを「リッターカー」と呼ぶこともありますが、実際に排気量1.0リッター以下のエンジンを積んでいるコンパクトカーというのは意外に少ないもの。まずは、国産車から真の意味でリッターカーと呼べるモデルをピックアップしてみましょう。といっても国産の1.0リッターエンジンはダイハツ(トヨタ)の「1KR」型エンジン(NAとターボがあり)と、ガソリン直噴ターボ仕様だけを用意するスズキの「K10C」型の2種類だけとなっています。

■リッターカーの本命「トヨタ・パッソ」「ダイハツ・ブーン」

リッターカーといえば、安価で取りまわしのしやすいエントリーモデルを思い浮かべます。まさに、そうしたリッターカーの王道といえるのが「トヨタ・パッソ」と「ダイハツ・ブーン」です。いずれもエンジンは直列3気筒996ccのNA(自然吸気)だけのラインナップで、トランスミッションはCVT。駆動方式はFFと4WDを用意します。パッソは、おしゃれな「MODA」シリーズと、ベーシックな「X」シリーズの2本立て。ブーンも「シルク」と「X」シリーズの2本立てとなっています。消費税8%込みでのメーカー希望小売価格は117万7200円〜189万1080円。ステレオカメラを用いた先進安全装備『スマートアシストIII」を幅広いグレードに設定。これは歩行者も検知して衝突被害軽減ブレーキを作動させるものです。

■日本一売れている兄弟車になる「トヨタ・ルーミー」「トヨタ・タンク」「ダイハツ・トール」「スバル・ジャスティ」

1.0リッター以下が大幅減税になったとしたら、軽自動車キラーとなる勢いでセールスを爆上げするのでは? と予想されているのが「トヨタ・ルーミー」「トヨタ・タンク」「ダイハツ・トール」「スバル・ジャスティ」の4兄弟車です。4モデルを合計すると国内の登録車市場では実質2位(実質1位はノア/ヴォクシー/エスクァイアのトヨタ3兄弟)といえるほど売れていますから、減税の追い風をもっとも受けると考えられるのです。全長3.7mというコンパクトボディに後席スライドドアを組み合わせたパッケージは、その使い勝手からも日本のファミリカーといえるもので、エンジンは1.0リッターのNAとターボを設定します。とくにターボの最高出力は72kW(98馬力)もあり、フル乗車でも余裕の走りを期待させるものです。消費税8%込みでの価格帯は148万3400円〜200万8800円となっています。

■ベーシックグレードに3気筒1.0リッターを設定「トヨタ・ヴィッツ」

1.5リッターハイブリッドや1.3リッター4気筒エンジンが売れ筋のトヨタ・ヴィッツにはパッソ/ブーンとほぼ同じスペックの1.0リッター3気筒エンジン搭載グレードが用意されています。パッソ/ブーンに比べるとボディサイズがひと回り大きいヴィッツながら、1.0リッターグレードのメーカー希望小売価格は118万1520円〜の設定で、同価格帯の軽自動車と比べてもバリューフォーマネーに価値を見出せる設定となっています。自動車税の減税は、こうしたグレードの価値を再確認させそうです。

■1.0リッターターボだけを搭載するアクティブSUV「スズキ・クロスビー」

スズキが軽自動車に新しい風を送り込んだカジュアルSUV「ハスラー」の兄貴分といえるクロスオーバーの登録車モデルが「クロスビー」。ルックスに見合ったタフな走りを実現するために、全グレードに1.0リッター3気筒ターボエンジン(マイルドハイブリッド仕様)を搭載しています。エンジン単体の最高出力は73kW(99馬力)、全高1705mmと背の高いモデルで車両重量は1000㎏となっていますが、高速道路でも余裕を感じさせるパフォーマンスを有しています。メーカー希望小売価格は176万5800円〜214万5960円、駆動方式はFFと4WDです。

■上級グレードが1.0リッターターボを搭載する「スズキ・スイフト」

スズキのコンパクトカー「スイフト」は1.2リッター4気筒エンジンを主力ユニットとしていますが、スポーティグレード「RSt」だけは3気筒ターボエンジンと6速ATのパワートレインを与えられています。こちらの最高出力は75kW(102馬力)と少々高められいるのが特徴です。また、セーフティパッケージとして衝突被害軽減ブレーキや追従クルーズコントロールなどを装備することもでき、現代のリッターカーに求められる先進安全性もカバーしています。メーカー希望小売価格は170万4240円です。

■3気筒ターボを積むインドからの輸入車「スズキ・バレーノ」

スズキの3気筒ターボエンジン「K10C」を搭載する3台目のモデルが「バレーノ」。インドで生産されるグローバルモデルの輸入車です。そのため、リッターカーながら全幅は1745mmとなり、3ナンバーとなります。さらに、インテリアではレザーシートを備えるなど”小さな高級車”を感じさせる仕上がりとなっているのも特徴といえましょう。日本でのデビュー当初はハイオク仕様だったターボエンジンは、マイナーチェンジを機にレギュラーガソリン仕様となったのでランニングコストにおけるネガも解消されています。トランスミッションは6速AT、駆動方式はFFのみ。メーカー希望小売価格は172万8000円となっています。

■番外編:ホンダ・シビックの欧州仕様には1.0リッターVTECターボがある

日本には導入されていないモデルですが、ホンダ・シビックの欧州仕様には1.0リッター3気筒VTECガソリン直噴ターボが設定されているのは、ご存知でしょうか。イギリス仕様のスペックは最高出力が95kW(129PS)、最大トルク200Nm(MT仕様)/180Nm(CVT仕様)というもの。1.8リッターに相当するダウンサイジングターボというわけです。自動車税の改正を機に、日本導入や他モデルへの展開を期待したいユニットです。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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