【ミラ トコット試乗】ダイハツの「プリティ軽」トコットは一般道から高速道路まで乗り心地しっとり

閑話休題。早速チェックしていきます。

トコットの特徴はなんといってもその無印良品的なシンプルでおしゃれな外観にあります。どこか無骨でスクエアなボディに、フロントとリヤの丸いライトなどのラウンド形状を組み合わせています。

ちなみにヘッドライトはLEDでマニュアルレベリング機能付きです。

ただしこのスクエアな外観はおしゃれのためだけでなく、立ったAピラーは前方斜め視界を向上させました。

また水平で低いウインドウラインは横や斜め後方の視界もたっぷり確保しています。

搭載エンジンはダイハツで広く採用されているKF型と言われる3気筒タイプ。最高出力は52ps/6800rpm、最大トルクは6.1kg・m/5200rpmとなっています。組み合わされるCVTはダイハツ独自の3軸タイプ(通常は4軸)。軽量かつコンパクトなのが特徴です。

ラゲッジルームは特大……とは言いませんが、4名乗車時でもビーバー1〜2匹は入りそうな空間が確保されています。一体式後席シートバックを倒すと、斜めにすれば小さめのトドが入りそうなスペースが生まれます。

室内高はミラ イースより30mm高い1270mmを確保していますので、前後席ともに広々した空間が確保されています。特にリヤシートは身長173cmの記者が座って頭上にもヒザ前にもたっぷり余裕があり、「これならハイト軽がいらないかも」と思わせるほど。

インパネはブラックをベースに、アイボリーとホワイトのパネルが組み合わされます。とりわけ助手席正面のセラミックホワイトのインパネガーニッシュは、まるでカルピス原液のように優しい白さ。樹脂素材なのに陶器のような質感です。

メーターはスピードメーターを大きく配置した見やすいもの。盤面発光タイプで夜間もスーパー視認性がいいです。

センター下部にはUSB電源ソケットを2口装備。しかも両方とも2.1A(スマホを使用しながらでも余裕を持って充電が可能な容量)サイズなのがうれしいです。また、試乗グレードではシートヒーターも装備されていました。

では乗ってみます。走り始めてすぐにわかるのは最小回転半径が4.4mで、まあ面白いくらいに小回りが利くこと。

また、意識的に軽く設定したという操舵力によって、ステアリングを回すのが楽だということもすぐわかります。とはいえ、軽すぎて不安になることもなく、切り足していく中にはしっかりした手応えがあることも特徴です。

サスペンションは前がストラットで後ろがトーションビーム。基本はイースと共通ですが、バネレートやダンパーはトコット独自設定。方向性としてはより柔らかい方向でして、乗り心地は桔梗信玄餅並みに柔らかです。

が、これ、ステアリングと同様にただソフトなだけでなく、ロールさせていく速度がコントロールされている「しっかり感」があるので不安になることはありません。もちろんタイヤがハイグリップ志向ではないこともあり、コーナリング速度の限界が高いわけでもないのですが、全体のバランスが取れているので好印象です。

今回、60km/h制限の一般道と80km/h制限の高速道路の両方を走りました。いずれも上限速度に達するまでのフル加速では、720kgと軽量な車体でもNA3気筒では「いっぱいいっぱい」な感があります。

「フル」ではなく周りの交通の流れ同等の加速や定速巡航、中間加速をしている際にはCVTがいい仕事をしてトルクの一番いいところを使って走行します。このため速度が乗ってしまえば(そして制限速度内の領域であれば)余裕をもった走行を楽しむことができます。

というわけでトコットは、実直な中におしゃれが光る内外装と、素朴だけれどきちんとした仕事をするメカニズムが印象的な1台でした。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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