【週刊クルマのミライ】直6エンジンであることがスープラのアイデンティティ。もし4気筒エンジンを積んだなら…

■「スープラ」とは4気筒のセリカに直列6気筒エンジンを与えた上級モデルに付けられた名前

【「TOYOTA GAZOO Racing」の化粧プレートが意味深】

新型スープラのプロトタイプがメディア向けに公開されました。残念ながら乗ることはできませんでしたが、せめてもの気持ちで試乗会場へ潜入。「A90」という、おそらく車両型式を示す迷彩柄のプロトタイプを眺めることができました。

カモフラージュされていても、その下にあるグラマラスなフェンダーは実感できます。ショートホイールベースもあってワイドトレッド感が強調されているのは気のせいではないはずです。

なによりプロトタイプのナンバー部分に取り付けられた化粧プレートに「TOYOTA」でも「SUPRA」でもなく、「GR」のロゴと「TOYOTA GAZOO Racing」の文字が書かれているのが気になります。単なる市販スポーツクーペではなく、”レーシング”につながるスポーツカーであることを示しているような気がしてきます。

さらに事前には2.0リッター4気筒ターボを積んでいるという噂もありましたが、直列6気筒エンジンはスープラのアイデンティティであり、新生スープラもその伝統は受け継いでいるといいます。

たしかに、1978年に生まれた初代スープラ(日本名はセリカXX)は、2代目セリカのエンジンベイをストレッチして、そこに直列6気筒エンジンを搭載していました。ロングノーズであることがセリカとの違いであり、それは2代目のスープラとセリカの関係でも続きました。

その後、セリカがFFシャシーになるとスープラとは完全に袂を分かつカタチになりますが、初期のスープラはセリカの兄貴分だったのです。ですから、もし新しいスープラに4気筒エンジンを積んだバリエーションが登場するようであれば、そのときはセリカという名前も復活するのではないか、と想像が膨らみます。

【日本車には珍しく、ホイールをボルトで止める】

それはさておき、試乗会場に選ばれたのは千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイというサーキット。名うてのドライバーが集まっていましたから、万全の状態で走りが味わえるように新品タイヤも用意されていました。

その交換シーンを、これまた遠くから眺めていると、なんだかメカニックの手元に違和感を覚えます。なぜならホイールをハブに固定するときにナットではなく、ボルトを持っているのです。国産車のほとんどはハブからボルトが生えていて、そこにホイールをはめてナットで固定するタイプですが、新型スープラはホイールボルトを使っているのです。

このスポーツカーは、トヨタとBMWの協力によって生まれたことは周知の事実ですが、ホイールの止め方ひとつをとっても欧州車的な空気を持っているのは、なんとも印象的でした。

新型スープラが正式発表されるのは2019年1月14日(現地時間)に開幕するアメリカ・デトロイトモーターショー。そのときには、すべてが明らかになることでしょう。それまではプロトタイプの写真から想像たくましくするほかなさそうです。

(写真:宮門 秀行/文:山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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