【中華電気自動車試乗】メーカー数はなんと500社以上! 中国で売れまくってる人気EVに一気乗り~!

あれよあれよと世界一の電気自動車(EV)大国となった中国。現在、中国にはEVメーカーが500社以上もあると言います。

中国でのEV販売台数は2017年が年間65万2000台。これには国が出す補助金や、たとえば北京の場合はクルマが増えすぎるのを防止するため、クルマのナンバープレートの発行に制限を設けナンバーが取りにくい状況なのに、EVだったらナンバー付きで購入が可能という政策も影響しているようです。ちなみに北京では抽選制、上海や深圳では競売制になっているので高額になってしまうとか。加えて政策として、2020年には電気自動車、プラグインハイブリッド車、水素燃料電池車などの割合をさらに増やし新車販売台数の12%にしなければならないという背景もあります。

とはいえ、日本では中国は近いけど遠い国。ニュースやネットなどで情報を得ても、日本には中国車は正規導入されていないし、どこか他人事な感じ。そしてもうひとつ、自動車関係の情報が伝わりにくいのは、日本からの観光客が中国で自動車を運転できないという事情もあります。中国は「ジュネーブ条約」に加盟していないため、国際免許証で運転することができないのです。もし運転する場合には中国の免許証を取得する必要があります。それに万が一、事故を起こした場合も対応が難しいということも中国での自動運転を遠いものにしているのかもしれません。

というわけでなかなか中国車にも乗る機会は無いし、中国国内の公道で自動車を運転することもできませんが、今回、中国の大手自動車メディア「IIA(网通社/www.news18a.com)が行っているEV試乗会に参加させていただきました。IIAでは、広州モーターショーに先駆けて 海外メディア向け「2018 IIAベストカーオブザイヤー」の選考試乗会を数日に渡って開催し、その中で最終日がEVの試乗会。

今回試乗したのは2017年に中国でのEV年間販売台数1位から10位までの中の4台で、4位の奇瑞汽車(Cherry)「eQ1」、5位の安徽合肥江淮汽車(JAC)「iEV5」、6位の比亜迪汽車(BYD)「e5」、7位の吉利汽車(Geely)「帝豪 EV」です。

試乗会場は、広州白雲国際空港から車で約1時間ほどの場所にある「広東国際サーキット」。しかしこの日は現地スタッフとの待ち合わせに手間取ったり事故渋滞のため、サーキットへは当初の予定より大幅に遅れて到着し、サーキットにはすでにスタッフしかいない状態。しかしその遅れのお陰で、ほかの参加者と時間が被らずにスムーズに試乗できたのはラッキーだったかも。

「広東国際サーキット」は1周約2.8kmほどの小さなタイトコーナーが多いのが印象的。

今回の試乗用にコースにはパイロンでスラロームや小さな段差なども作られています。

 

まず最初に試乗したのは吉利汽車(Geely)の「帝豪EV」 。室内のインテリアやクルマのクオリティが高いことに驚きます。車内のセンターにあるのも今風な液晶パネルで、ドライブモードもECO/スポーツ/ノーマルとあり、回生量も弱/中/強と3段階に変えることができます。とはいえ、あまり回生量の違いは感じませんでしたが。さらにクルーズコントロールなどもあり、乗り心地も良く、一般的なEVという感じ。

 

次に乗ったのはスマートか?昔あったトヨタのiQか?という感じで、名前も奇瑞(Cherry)の「eQ1」。名前まで似ています。私が以前、中国モーターショーに来た当初は、何かのクルマにそっくりないわゆる「パクリカー」が面白かったのですが、行くたびにデザインが洗練されていたので、むしろ「eQ1」は、懐かしい感じ。そして大きなインフォテイメントが液晶パネル。これはやはりテスラの影響のようです。

 

そしてリアガラスにステッカーが張られていたり、シフトにはユニオンジャックの小物が装着。明らかに個人のクルマな様子。聞くと今回の試乗車はメーカーの広報車ではなく、個人の物とのこと。これにも驚きました。そして肝心のクルマは…かなりバタバタして、メーカーが作ったというより、手作り感たっぷり。

そしてBYDの「e5 」。BYDは今、中国のEVでもトップシェアとのことですが、ドライブモードは一つだけ。120km/hになるとメーターパネルの色が赤く変わります。これは中国の道路は120km/h規制のところが多いからだそうです。

 

そして最後がJAC「iEV5 」。フロントのメッキがなかなかスタイリッシュですが、ハンドル奥のメーター系がまんま「リーフ」!しかしアクセルペダルのクリック感やレバーなどはなんとなく雑な感じで、「リーフ」のほうがちゃんとできています。それより、合皮でできたキルティングのフロアマットが何台かのクルマにも装着されていましたが、今、中国で流行っているアイテムだそうです。

中国のEVをすべて試乗したわけではありませんが、かなりクオリティには差がありそう。今度はベスト10入りしているすべてのEVに試乗したい! そしていつか500社すべてのEVに試乗をしてみたいものです。

(吉田 由美)