【良いところ① 超一級品の走る・曲がる・止まる】
2,550mmという短めのホイールベースによる俊敏さ、その俊敏性を受け止めるワイドトレッドとワイドタイヤによる安定感の高さは、いかにも“スポーツカ―らしい動き”を体感させてくれます。高速走行中やコーナー中のどのシーンでも、まるで線路の上を進む新幹線のように「オンザレール」感を感じさせてくれ、路面に「ビタッ」と張り付く印象があります。
特にコーナーでは、乱れの少ない横Gを発生させながら、綺麗な円弧を描いて旋回をしていきます。また、底知れないほどにパンチのある加速をしますが、ストッピングパワーも優れていますので、ドライバーが減速するタイミングを間違えなければ、気持ちの良いドライビングができます。
ただし、片目をつぶる必要があるのが、残念ながらこれらが「綺麗な路面限定」なこと。ちょっとしたギャップでもタイヤが跳ね上げられる瞬間があります。Zには細い山道よりも、きれいに舗装されたワインディングがお似合いのようです。
【良いところ② 所有することへの「満足感」と「刺激」】
ロングノーズでローアンドワイドなエクステリア、イエローボディに入った哀愁漂うレーシングストライプなど、古き時代の「アメリカンな雰囲気」を出しています。またサポート性の高いシートに座り込めば “スペシャリティな刺激”を感じることができます。
ヘリテージエディションならではの黄色いレザーのステアリングやニーパッド、シートに入った「370Z」のイエローステッチなど、無骨なインテリアに「パッと明るさ」をもたらしながら、どなたも「満足感」を感じるでしょう。
ただしよく見れば、メーター回りのデザインやインパネ、センターコンソールの操作スイッチ、ナビゲーション画面、内張りの表皮など、現代の水準のクルマと比べるとさすがに古さを感じてしまいます。10年間も放っておかれたわけですから、仕方のないことでしょう。
前編では、筆者がよく感じた点を挙げていきました。ここまで完璧に思えるフェアレディZにある弱点と、次期型Zに期待したい点とは?(後編に続く)
(文/写真:吉川賢一/藤野基就)