国産スペシャリティカーを保有するとどんな満足感を得られるのか?【フェアレディZ ヘリテージエディション試乗・前編】

今年2018年5月、フェアレディZ「Heritage edition(ヘリテージエディション)」が発売されました。

「なぜ今さらZ34なのか?」。かねてから「次期型Z」のうわさは絶えずありましたが、今年2018年にヘリテージエディション追加、また来年は1969年の初代フェアレディZ(S30型)の登場から50年目の節目、しかも東京モーターショーのタイミングなのです。

日産のデザイン担当役員からも次期型Zの開発を示唆する発言があり、来年は何かが起こってもおかしくはない時期でもあります。

今回、絶好のタイミングで試乗の機会に恵まれましたので、試乗レビューと合わせて、「次期型Z」についての考察をしていきたいと思います。元某メーカーのシャシーエンジニアの端くれだった筆者が、今回も忖度せず、正直にご紹介していきます。

試乗したのは「フェアレディZ Heritage edition」(6MT、車両本体 税込408万240円)。これにメーカーオプションで専用ボディカラー(プレミアムアルティメイトイエロー:+14万400円)、ナビゲーションシステム(38万6,640円)、寒冷地仕様(1万800円)、総額53万7,840円を追加した仕様です。ちなみに、7AT仕様だとベース車両が415万8,000円と若干アップします。

Z34が発売開始されたのは2008年12月ですから、すでに10年が経とうとしています。2012年にマイナーチェンジが行われ、バンパーのデザイン変更やサスペンションのリファイン、そして2014年に行われた「NISMO」のマイナーチェンジを最後に、今のデザインに落ち着きました。そのため、すでに十分に見慣れたデザインではありましたが、試乗当日はいつもよりも2時間も早く目覚めてしまうくらい、久々に心が躍る、楽しみな一台でした。

エンジンは日産FRではお馴染み、3.7L V6エンジン(VQ37VHR)を搭載、最大出力247kW(336PS)、最大トルク365Nm(37.2kgfm)を発生。“Z”専用のセッティングとして鋭いレスポンスとコントロール性を高め、踏めば踏むだけパワーが出るフィーリングを目指したそう。

トランスミッションは6MTにシンクロレブコントロール制御を世界初搭載(※2008年当時)し、マニュアルミッションの楽しみ方を提案してくれました。相変わらずこの機能は素晴らしく、スイッチを「オン」にして運転すると、極滑らかにシフトダウンが決まり、その効果を明確に享受できます。

逆に「オフ」にすると、途端にシフトチェンジがギクシャクするのがショックで、試乗後半はシンクロレブコントロール制御をあえて使わずに、滑らかなシフトチェンジを練習したほどです。

「正直言って、この変速は私より上手い」とはカタログに書かれていた言葉です。まさにおっしゃる通り、試乗記を書いている身分として認めたくはないですが、自身のMT操作の未熟さを実感いたしました。

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
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