【ベントレー・ベンテイガ試乗】走るだけで他車を威圧するような圧倒的存在感のなかに纏う「上品さ」

イギリスで生まれたベントレーは誕生後すぐに高級車としての名声を獲得。その歴史は現在にまで至るモデルです。初期は独立系メーカーでしたが、その後ロールス・ロイスが買収、ロールス・ロイス倒産後はフォルクスワーゲン傘下に収まり、現在に至っています。

そんなベントレーも世界総SUV化の波から外れることができず、波にもまれながらSUVを登場させました。それが「ベンティガ」という今回試乗したモデルです。ベンテイガという言葉は造語で、ロケベンテイガという山やタイガという森を組み合わせた言葉となっています。

ボディサイズは、全長が5150mm、全幅が1995mm、全高が1755mmとかなりのビッグサイズ。1995mmの全幅はミラーを含まないもので、ミラーまで含むとじつに2224mmとビッグを通り越して、巨大と行ってもいいサイズです。

試乗は都内で行いました。と言っても比較的広いを選んでの移動です。本当は狭い道へもチャレンジして、その使い勝手をチェックすべきなのでしょうが、約2000万円のクルマでそのチャレンジをする勇気は私にはありませんでした。

都内では片側3車線の道路と言っても、路肩には駐車車両も多く、一番左を走るのはかなりストレスです。試乗車は左ハンドルだったので、右折に備えて右車線を走るのはさらに気を遣います。

しかし、圧倒的な存在感がモノを言うのでしょう。近づいてくるクルマはかなり少ないのです。こっちがぶつけるのもイヤですが、あっちだってぶつけたくないタイプのクルマです。

日本のビッグミニバンも後ろから迫るとかなりの威圧感を持っているクルマですが、ベンテイガはその比ではありません。ただ、その迫力に上品さが漂うのが不思議なところ。オラオラ系ではなく、「なんだか凄く高そうな服を着ている人だからちょっと近づきがたい」というタイプの存在感です。

(文/写真・諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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