今や新車が出れば3台に1台はそれなんじゃないかというSUVブームでして、実際、それを裏付ける数字は散見されます。
たとえば、フォードがセダン販売の撤退を発表した米国市場でのトヨタの販売構成は、約2/3がトラック系含むSUV。世界的に自動車販売の中核となるスモールカーセグメントでのSUV比率は3割を占め、最大市場の中国では4割に達しつつあり……。
と、まぁ日本の勢いなど可愛いもの。球がなければ野球ができないのと一緒で、自動車メーカーからすればそれなくして試合にならずの様相です。そりゃあロールスもフェラーリもSUV作るわけですよね。
そのスモールカーセグメントにおいて、SUVのプロファイルは2つのパターンに大別されます。方や背の高いオーソドックスな四駆的なフォルムのそれ、方やタワーパーキングにも収まる車高に抑えられた普通のクルマ寄りのそれ。すなわちフォレスターかXVか……と、スバルのモデルを例にあげれば話はわかりやすいでしょうか。
レクサスにとって最も小さなSUVとなるUXのコンセプトは、その後者の側にいます。全長は4495mm、全幅は1840mmとCセグメント系SUVとしては国際標準的なサイズです。日本では幅が若干気になるかもしれませんが、全高は1520〜1540mmと、平均的なタワーパーキングに収まるところに抑えられています。
車体のアーキテクチャーは間もなく国内発売されるESと同じGA−C、すなわちTNGA系ということになりますが、リアゲート開口部を環状構造としたほか、構造接着剤やレーザースクリューウェルディング溶接などの生産技術を多用して、レクサスらしい車体剛性やアコースティック性能を確保。加えてフロントフェンダーやボンネットフード、前後ドアパネル、リアゲートの骨格にはアルミを使用、リアフードは樹脂を用いるなど軽量化にも気が配られています。
パワートレーンは2Lガソリンと2Lガソリンハイブリッドの2種類が設定されており、いずれにもトヨタで言うところのダイナミックフォーステクノロジー、すなわち高速燃焼を核とした超高効率内燃機技術が用いられています。ガソリンについては、米国市場では現行カムリが先駆けて採用していましたが、日本市場では初出となるものです。
低中回転域で粘り強いトルクを発するロングストローク設計にもかかわらず、6000rpm超のまでパワーを乗せていくガソリンユニットは、高回転域で171ps(126kW)を発する一方で40%の熱効率を達成。これがモーターの補助によって使用領域を限定できるガソリンハイブリッドではより高い41%をマークと、その数字は従来の内燃機の常識では考えられなかったものです。
このガソリンモデルに合わせられるミッションはCVTですが、こちらも新設計となるもので、発進用のメカニカルギアを加えることで超ワイドレシオを達成しただけでなく、伝達効率と動作レスポンスの改善により単体で従来比6%の燃費改善が見込まれるといいます。つまりUXのガソリンモデルは、従来の2Lモデルに比べるとざっと15〜20%くらいの実用効率向上を果たしているとみていいでしょう。