1億円オーバーの国産車対決。スペシャルなGT-RとトヨタのGRスーパースポーツを比べてみたら……

GT-Rをベースにした特別なモデル「Nissan GT-R50 by Italdesign」が先日から銀座にある日産のショールームで公開されました。

予定価格は欧州で90万ユーロ“から”とアナウンスされ、日本円にすると1億円オーバーは確実です。

手元に持ち合わせがなくても年末ジャンボが当たれば手が届くよね……なんて思ってみても、やっぱり夢のような世界。でも、味わえるものならそんな世界も味わってみたいものです。

ところ1億円オーバーといえば、あのクルマも「そのくらいの価格では?」なんて言われていますよね。
それは、トヨタGAZOOレーシングが市販化を明言した「GRスーパースポーツコンセプト」です。

こちらは価格についてのアナウンスがなくて1億円というのはあくまで予想価格でしかないのですが、「1億のスーパーカー」として特別なGT-R(Nissan GT-R50 by Italdesign)と比べてみたくなっちゃうのがクルマ好きの性。そこで、この2台も比べてみました。

●アプローチは全然違う

はっきりいって、真逆ともいえるのがクルマの成り立ち。

特別なGT-Rはストリートカーをベースにスペシャルな仕立てとしましたが、GRスーパースポーツは「TS050ハイブリッド」という生粋のレーシングカーをベースに一般公道でも乗れるようにモデファイ。同じ市民マラソンのランナーでも、普段はサラリーマンでトレーニングをして参加する有力市民ランナーと、常にトレーニングを積んでいるバリバリのアスリートくらい違います。

ただしこれは、どちらがいいとか悪いとかではありません。あくまでも成り立ちの話であり、そこにストーリーがあればどちらも構わないと思います。

 

●エンジンはどちらもV6。ただし共通点はそれだけ

特別なGT-Rのエンジンは3.8LのV6ターボ。GT-R NISMOのエンジンをベースにチューニングを施し、最高出力720ps/最大トルク780Nmを発生します。ブガッティ・シロンの1500馬力などと比べると少ないような気がしますが、ランボルギーニ・ウラカンの高性能モデル「ペルフォルマンテ」が680ps、フェラーリ488GTBが670psだったりしますから、スーパーカーとしても十分な性能です。

GRスーパースポーツはどうか? エンジンはV6ですが、排気量は2.4Lしかなく”意外に少ない”といえます。ただし、こちらはターボでドーピングしているだけでなく強力なモーターを組み合わせていて、パワーユニットとしての最高出力は「1000ps」とのこと。

1000psの市販車は、世界的にもごくごく一握りの世界ですね。パワーユニットは、もちろんレースで開発されたものを市販に向けてモデファイして搭載するといいます。

●大幅に異なる車体構造

ボディ構造もエンジン同様に対照的です。特別なGT-Rは、デザインだけでなくルーフを低くするなど車体構造にかなり大幅なモデファイが加わってスキンの素材も大部分がカーボンに置き換わっているとはいえ、公道走行用に設計された市販車がベース。

対してGRスーパースポーツはレーシングカーをベースに一般公道も走れるように落とし込んだもの。同じ1億円オーバーのスーパーカーでも生まれがまったく違います。

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
続きを見る
閉じる