【WEC富士6時間レース】抹消されたポールポジションの7号車が大逆転!速すぎるトヨタが1・2フィニッシュ

メインストレートのピット出口付近でGTE-Amクラスのフェラーリがクラッシュ。ドライバーは無事ですが散乱したパーツの除去のためにセイフティーカー(SC)が導入されます。しかもストレートは通行止めとされSCの隊列はピットロードを通過するので通常のSCよりもペースが遅くなりました。

このSC導入により4番手だった7号車はトップの8号車との距離を一気に縮めます。そして降っていた雨はいつの間にか上がり、SC解除後にはスリックタイヤへの交換が必要となってくるのです。

純粋なウェットタイヤを履いた7号車に対し、浅溝のインターミディエイトタイヤを履いていた8号車はドライ路面でも7号車よりはペースが速く、またもや7号車との距離が開きます。そこで7号車は8号車よりも速くスリックタイヤにチェンジ。ここで1分26秒台というドライ路面のペースを発揮した7号車は一気にトップへ躍り出ます。

ピットタイミングなどで8号車はなんとか7号車の前へ出ようとしますが、その後も7号車はトップを維持し続け20秒程度のアドバンテージを持ち続けます。そして残り40分弱の時点で8号車は中嶋 一貴選手、続いて7号車は小林可夢偉選手にドライバーチェンジ。ファイナルスティントはどちらも日本人ドライバーとなり、レース終盤の大きな盛り上がりとなって行きます。

そして6時間後のチェッカーフラッグ。予選から始まる数々の逆境を乗り越えて7号車が堂々の優勝!

TOYOTA Gazoo Racingのピットも盛大な歓迎!

パルクフェルメでは小林可夢偉選手がヘルメットも脱がずに抱き合い、勝利を噛み締めます。

 

小林可夢偉選手にとってはWECで2度目、今期では初勝利。笑顔に喜びが満ちています。

FIA 世界耐久選手権 富士6時間耐久レース総合優勝、LMP1クラス優勝と数々のトロフィを授与される7号車のドライバー。

そして小林可夢偉選手には日本人最上位に贈られる国土交通大臣杯が授与されました。

「ル・マンで見せたTOYOTAの1・2フィニッシュを日本のファンの皆様の前でも」とトヨタ自動車の豊田章男社長は語っていましたがそれを実現したTOYOTA Gazoo Racing。

2018〜2019年6月までという長い期間のスーパーシーズンはこの富士で折り返し。スーパーシーズン最終戦のル・マンで、そして史上初のスーパーシーズンチャンピオンに向けてTOYOTA Gazoo Racingは突き進んで行くことでしょう。

(写真:松永和浩、高橋秀彰 文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
続きを見る
閉じる