フォルクスワーゲン・ビートルが生産終了。あらためて振り返りたいFFビートルの歴史

2019年で生産を終えることになったフォルクスワーゲン ビートル。ここでは、FF車として復活した新世代のビートルについてお話しましょう。

本来であれば、1974年に傑作車・ゴルフが誕生した時点でビートルは役割を終えたはずでした。ところが20世紀もそろそろ終わろうとする1994年、フォルクスワーゲンはデトロイトで開かれた北米自動車ショーに、ビートルを現代に復活させたようなプロトタイプ「コンセプトI」を出展します。

人々はビートルというアイコンを忘れてはいませんでした。コンセプトIは大きな話題となり、市販化を望む声が多数寄せられます。この声に応えて、1998年に市販化されたのが「ニュービートル」です。

ニュービートルはゴルフのA4プラットフォームをベースにしたFF車で、生産拠点となったのはメキシコのプエブラ工場。初代ビートルがトランク&スペアタイヤ置き場として使った丸いフロントセクションにエンジンを押し込んだため、ダッシュボード周辺が大きいという「事情」もありましたが、愛らしくモダンな存在感は圧倒的で、ビートル神話を21世紀へと継承することに成功します。

ニュービートルからも、初代ビートルのような派生モデルが生まれました。アメリカで人気を得たカブリオレに加えて作られたのは「RSi」というモンスター。巨大なリアウイングを持つボディに225psを発生する3.2L・V6エンジンを押し込み、6速MTを通じて4輪を駆動したこのクルマは、初代ビートルのチューニングカルチャーを受け継いだかのようなホットモデルとして注目を集めました。

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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