【新車試乗】スバル・フォレスターの2.5リッター直噴エンジンは高速燃費が優秀。だから遠くに行きたくなる

排気量の小さなハイブリッドと、大排気量NAのラインナップというと、前者のほうが圧倒的に燃費性能に優れていると思いがちですが、新型フォレスターではそんなことはありません。カタログスペックでいうと、新しい燃費基準であるWLTCモードでハイブリッドが14.0km/Lなのに対して、2.5リッター車は13.2km/L と遜色ない数値を記しています。

実際、乗ってみても排気量の余裕を活かしてエンジン回転は低めですし、アクセルをそれほど踏まなくても十分なパフォーマンスを示します。そこから踏み込めば、NAエンジンらしいリニアなトルク感で加速を開始します。

先代までのターボエンジンのような刺激こそ薄くなりましたが、けっして不満を感じるようなことはありません。むしろ、CVTの変速制御とあいまったリニアリティの良さは現代的なスマートさを感じさせるほどです。

そのリニアリティがとくに活きてくるのが高速巡航です。今回、最新のACCである「アイサイトツーリングアシスト」を使って自動車専用道路を走ってみましたが、前走車の加減速に遅れることなく追従していきますし、そのときにエンジン回転が不粋に上がるようなこともありません。なめらかな追従性は、アイサイトというスバルのコア・テクノロジーを引き立てるものです。

さらに、そのときの燃費性能も驚きです。流れにのった追従クルーズコントロール状態においてメーターに表示された瞬間燃費は18〜19km/L。前述したWLTCモードには高速道路モードの数値もありますが、その16.0km/Lを余裕で上回る燃費の良さです。公道では不満どころか余裕さえ感じさせる、新しい2.5リッターガソリン直噴エンジンは、高速巡航における燃費性能で期待以上の性能を持っていることを示してくれました。

ピークパワーなどはターボの代替といえるほどの性能があるとはいえない2.5リッター車ですが、パフォーマンスや扱いやすさ、燃費のバランスにおいてはフォレスターのキャラクターにマッチしています。

現時点では兄貴分であるレガシィ・アウトバックの2.5リッターエンジン(こちらはポート噴射タイプです)よりも最高出力などで優位なフォレスターの2.5リッターエンジン。スバルの水平対向エンジンといえば燃費に難あり、という先入観を吹き飛ばすウェルバランスなユニットであることが、今回の公道試乗で確認できたのです。

●スバル・フォレスター「X-BREAK」 主要スペック
車両型式:5BA-SK9
全長:4625mm
全幅:1815mm
全高:1730mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1530kg
乗車定員:5名
エンジン型式:FB25
エンジン形式:水平対向4気筒ガソリン直噴
総排気量:2498cc
最高出力:136kW(184PS)/5800rpm
最大トルク:239Nm(24.4kg-m)/4400rpm
変速装置:CVT
燃料消費率:14.6km/L (JC08モード)/13.2km/L(WLTCモード)
燃料タンク:63L(レギュラーガソリン)
タイヤサイズ:225/60R17(オールシーズンタイヤ)
メーカー希望小売価格(税込):2,916,000円

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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