新型ホンダ・NSX再考 Vol.2 NSXを全開で試す!【GENROQ 長期レポート】

アンダーを抑え、ゼロカウンターで決める!

コーナー進入は無理せず、丁寧にステアリングを切り込み、旋回モーメントを発生させる。そして肝心なのはクリッピングポイント付近で、気持ちとしては少し手前からアクセルペダルに軽く足を乗せておくこと。こうしてステアリングを切った向きに、クルマを引っ張り出すようにしてコーナーを立ち上がるのだ。

あるいは4WD的な走り方と言ってもいい。もちろん、事実としてNSXは4WDなのだが、ミッドシップらしいシャープな旋回感覚と、同時にミッドシップにしては重いフロントが同居していて、そこも走りを難しいものにしている感覚がある。

アンダーステアを出さず、うまい旋回姿勢を作り出し、アクセルでフロントから引っ張り出す。これがうまくキマった時のコーナリングは、いわゆるゼロカウンターで爽快だし、体感としても速い!のである。

フロントのトルクベクタリングがより強くなるSPORT+でも走ってみたが、レスポンスが敏感過ぎてサーキットには不向きと感じた。本領はワインディングロードでの方が発揮できそう。本当はこのトルクベクタリングの特性は、モードによって切り替わるステアリングやスロットル、VSAなどの特性ともども、もっと好みに応じてパラメーターを細かく調整できるようになれば面白いだろう。

もちろん現状に100%満足というつもりはない。不満は他にもまだまだある。

けれど言いたいのは、ポテンシャルと向き合い、自分のドライビングの癖や習慣を一旦リセットして最新型にアップデートしていけば、NSXは圧倒的なスピードを引き出せるクルマだということだ。それはスポーツドライビングに、知性という項目を持ち込むことだと言ってもいいかもしれない。

速いコーナリングは、とにかくスムーズに走らせるのが肝心。突っ込みすぎなどは厳禁だ。そして前輪の電気モーターによるトルクベクタリングを活かして、ステアリングを切った向きに引っ張り出すようにアクセルを踏み込んでいく。決まれば速い!
NSXは4つの走行モードを用意しており、実に8項目のパラメーターが変化する。SPORT+はワインディングがベストで、とても良く曲がる。
TRACKはコントロール性重視で、そこまで曲げないが、案外ウエット路面ではこちらもアリ。色々試すのが楽しい。

REPORT◎島下 泰久(Yasuhisa Shimashita)
PHOTO◎宮門 秀行(Hideyuki Miyakado)

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