【ルノー・メガーヌRS試乗】4コントロールで得られる魔法のグリップに高出力エンジンの組み合わせは「最強」

ルノースポールのテストドライバー2名に同乗させてもらったメガーヌRS。悶々とした1週間を過ごし、やっと自らハンドルを握る試乗のチャンスがやってきました。

メガーヌRSの最大の魅力は4コントロールと呼ばれる4WSにあると言っても過言ではないでしょう。この4コントロールはリヤタイヤが低速(通常は60km/h、レースモードでは100km/hが切り替えポイント)で逆位相(フロントが右舵角ならリヤは左舵角)に操舵、高速なら同位相に操舵されます。

リヤサスペンションの形式はトーションビーム式ですが、一般的なトーションビーム式とは異なります。一般的なトーションビームは、1本のビーム(梁)で構成されますが、メガーヌRSに採用されるトーションビームは、ホイールが取り付けられる斜めの部分が分割されていて、左右にステアできるようになっています。上下の動きが規制されたセミトレーリングアームのような構造となっているのが特徴です。

加えて、フロントのストラットサスペンションにはアームが追加され、かつてトヨタが採用していたスーパーストラットのような構造となっています。この構造によってキングピン角度の減少を実現。ストローク時のアライメント変化を抑えています。

この構造によって得られたのはリヤのトーションビーム式サスペンションによる高いロール剛性の確保と、リヤステアによるスタビリティの確保が両立できたことです。これまでの多くの4WSはロール剛性の確保が難しい独立懸架との組み合わせでした。固定式サスと4WSの組み合わせという独自の発想(他に採用例はありますがトラックなどの商用車がほとんどでした)が4コントロールの高いコーナリング性能を引き出したと私は考えます。

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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