伊藤梓から見えたのは、マツダ・ロードスターをワンちゃんに例えるとSは好奇心旺盛、NR-Aはご主人さまの言うことをしっかり守るタイプ

さて、「ロードスターを買う!」と決意した私ですが、契約するときになかなか決められなかったのはグレード。もちろんレースをするならワンメイクの競技用車両にも指定されている「NR-A」が適役。でも、個人的に試乗して「好きだなぁ」と思ったのは、もっともシンプルなグレードの「S」でした。

シンプルなロードスターS

「グレードってそんな差があるもの?」と思う方もいるかもしれませんが、ロードスターは結構違うんです。もちろん装備の違いも大きいのですが、私がもっとも気になるのは運転したときの印象。どのグレードもロードスターらしい乗り味なのは間違いないのですが、そのなかでもSは無邪気なイメージ。運転しているととても素直に反応を返してくれるし、一番体に馴染みます。そのいっぽうで、NR-Aは従順。こちらの操作に対してピピッと素早く反応して、指示に対して正確に動いてくれます。

そして愛車となったNR-A

試乗したあと二台の表情を見ると、Sはのほほんとしていて、NR-Aはキリッとして見えるのが不思議でした。どちらも基本は一緒なのだけれど、本当に人間のように「性格」が違う。たとえるなら、Sは好奇心旺盛なワンちゃん。散歩していると、フンフンといろんなものを嗅いでみたり、たまにリードをぐいと引っ張って「こっちも楽しそうだよ〜」と連れてってくれる感じ。それに対して、NR-Aはご主人さまの言うことをしっかり守るタイプ。「とってこい」をしたら必ずボールを持って帰ってきてくれるし、散歩のときにはウロウロしないでビシッとご主人の真横を歩いてくれるような。そんな二匹を見て、ちょっと抜けている雰囲気のあるSが私にはしっくりきたのでした。

ただ、よくよく考えてみて、「ロードスターの一から十までを知りたい……それなら、いつかはレースもしてみたい」そう思ったとき、やはりNR-Aにしよう!という決断に。「本当はSとNR-Aの二台持ちが理想なんですけど」とまわりに漏らすと、「それはさすがにヤバい」と引かれてしまいましたが……。いまだにそれが理想だなぁとは思いつつ、それはいつか私がお金持ちになったら、改めて検討しようと思います。