面識もないサーキットの仲間たちが、伊藤梓の危機を救った!

■同じロードスター乗りが徐々に声をかけてくれるように

●事故処理から保険の心配までケア!

前回は人生初クラッシュから色々と苦悩した結果、なんとか1年ほどかけて復活した!という話をしましたが、おそらく自分一人だけだったら、そのままサーキットから離れてしまっていた気がします。今回は「サーキットを走るなら仲間を作るべし!」というお話です。

実は私もサーキットを走り始めた頃は、一人で自走で行って、走るための準備をして、サーキットの走行券を買って……と、サーキットの隅っこで細々と練習していました。そうしているうちに、同じロードスター乗りが徐々に声をかけてくれるように。

ロードスター外観
ピッカピカのロードスターと私

私のタイムが目に見えて遅いので(笑)、「もっとタイムアップできるように」と、私の前に出てレコードラインを走ってくれることも。私はロードスターのワンメイクレースである『パーティレース』のためにゼッケンを貼っていたので、同じ“パーティレーサー”の人たちも親切にしてくれました。『パーティレース』は、レースになればもちろん真剣勝負なのですが、実はレース以外では和気あいあいと情報交換や交流をしているのです。これも間口の広いロードスターならではかなぁと思います。

シートに座った姿
走行会の合間のスナップ

そんな風にサーキットへ行くたびに、少しずつサーキット仲間が増えてきたとある日。例の人生初クラッシュをしてしまったのです……。

クラッシュ直後は茫然自失状態で「とにかくクルマを動かしてピットに戻らないと……」と思ったような気がするのですが、ピットに戻るまでの記憶は無し。そんな状態でピットにヨロヨロと戻ってきたところに、サッと駆けつけてくれた人たちがいました。それが、なんとこれまで話したことのなかったパーティレーサーのみなさん。直接の面識はないのに、私がロードスターに乗っていて、パーティレースのゼッケンをつけているというだけで、間髪入れずにに助けに来てくださったのです。

私がパニックから少し落ち着いて、やっとクルマを降りられるようになったときには、すでに破損したところを危なくないようガムテープで補強してくださっていたり、エアバックが開いた警報を止めるために、ヒューズを抜いてくださったり。降りてからもボーッとしている私に、自走できないようなら保険屋に連絡を入れてレッカー車を呼べないか確認するようにと促してくれたり、もしすぐにクルマを預けられるところがないなら、ディーラーやショップを紹介すると言ってくださったり。

一人だったらきっとそこまで気が回らなかっただろうし、とにかくクラッシュのショックと心細さにサーキットに復帰しようという気持ちも芽生えてこなかったかもしれません。

トビライラスト
いざというとき頼りになるのは仲間!

 

こうやって少しでも仲間がいれば、ショックな気持ちの中にも勇気が湧いてくるのだなぁと思いました。本当に助けてくださったみなさんには感謝しています。その節は本当にありがとうございました……。

これからサーキットを走りたいと思っている人たちは、是非サーキットでよく会う人には挨拶をしてみてください。きっと仲間が少しずつできてきて、心強い味方になってくれると思います。

(文・イラスト:伊藤 梓)