一昨年6月、米ライドシェア大手の「ウーバーテクノロジーズ」と自動運転分野で提携したトヨタ自動車。本年8月28日には、新たに同社との提携を拡大すると共に、トヨタがウーバーに5億ドル(約550億円)を出資すると発表しました。
トヨタではウーバーに車両をリースし、ライドシェアで得た収入からリース料を得る仕組みなどを整えているそうです。
同社はウーバーとの今回の提携をモビリティカンパニーへと変革する上で、重要なマイルストンに位置付けているそうで、本年6月には東南アジアのライドシェア最大手、「グラブ」にも10億ドルを出資すると発表。
また米GMは2016年1月にライドシェアサービス会社の「リフト」に5億ドルの出資を表明。独VWも同年5月にイスラエルのライドシェアサービス会社「ゲット」に3億ドルを出資すると発表するなど、世界の自動車各社がライドシェア大手との提携に動いているようです。
そこで、一つの疑問が浮かび上がります。
というのも、これまではライドシェアサービスが普及すれば、クルマは買うモノではなく、利用するモノへと変り、クルマを購入する消費者の減少が予想されることから、ライドシェア会社と自動車メーカーの利害は相反するものと考えられていました。
確かに自動車会社がクルマの需要減をもたらす可能性が有る相手と手を組むという戦略は、一見、不合理に映ります。
ただその一方で、日経新聞によると、今後自動運転技術が進化して人間のドライバーを必要としない「完全自動運転車」が実現した場合、クルマを使わないウイークデーなどに自身が所有する自動運転車をライドシェアサービスに貸し出して収益を得る時代へと移行する動きがみられるようです。
そうなった場合、自身の所得では手の届かないような高級車でも、ライドシェアサービスに貸し出すことを前提に購入する消費者が出てくる可能性もあり、もはやライドシェアサービスは自動車メーカーの敵ではなく、むしろクルマの所有を促す方向に作用するというわけです。
このように、昨今の自動車会社とライドシェアサービス会社との提携は、今後の自動運転時代を見通した新たな収益構造構築に向けた動きと言えそうです。
(Avanti Yasunori・画像:TOYOTA、UBER)
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