現役レースクイーンのデビューレースは壮絶バトル!? 安藤麻貴さん、予選を突破して見事完走

そしてこの日の午後の最初のレースとなる決勝へと臨む安藤麻貴さん。

彼女のポジション、43番グリッドはホームストレートを超えて最終コーナーに差し掛かる場所にあり、なおかつ登り坂。彼女のグリッドの写真の背景にはセカンドアンダーブリッジが写るほどの後方。ツインリンクもてぎの35番から後ろのグリッドは坂道発進となり、ほかのサーキットよりもスタートが難しいといわれています。

午後1時30分、決勝スタート。難しいといわれた後方からの登り坂スタートを絶妙に決めた彼女は第3コーナーに差し掛かる頃には3台も抜いて40位までポジションアップ!

「レーシングカートでスタートのときは真ん中を突っ切るとうまく決まるので、そのつもりでやってみました。でもグリッドが後方過ぎてシグナルが見なくて周りの動きに合わせてのスタートでした。シグナルと同時に動ければもう2台くらい抜けたかも」とスタート時の状況を語る彼女。さすがカート経験者は心構えが違います。

その後も順調に周回を重ねていた彼女ですが、涼しくなったとはいえ夏のもてぎ、マシンが熱ダレしてきてしまったようで思うようにタイムが出てこなくなってしまいます。そうなると徐々に後続車に抜かれていまいます…

予選と同じ43番手までポジションを落としてしまった彼女の背後にSUPER GTのGT500クラス、KEIHIN NSX-GTと同じカラーリングのマシンが背後に迫ってきます。ドライバーはSUPER GT公式応援団長のこにわさん。「もう抜かれたくない一心で、第一コーナーではガッツリとインを閉めちゃいました」と彼女が言うほどの壮絶?なバトルがラスト2周で展開されます。

そのバトルを制して、予選と同じ順位でチェッカーを受けた安藤麻貴さん。「チェッカーを受けてピットに戻るときに何人かのコースオフィシャルの方が89って書いたボードを出してくれていて、いろんな方に見ていてもらっていたんだなという実感で涙が出てきちゃいました」と語ります。

「レースクイーンだと土日しかサーキットにいませんが、自分でレースに出てみてレースって土日だけのものじゃないんだなという実感がわきました。
レースウィークの週末だけではなく、練習とかも含めてその前に色々な準備があって、サーキットにいるときはその準備などの集大成なんだっていう実感です。実際に走ることでドライバーだけではなくチームのスタッフさんたちが苦労してレースを作り上げていることがわかったと思います。
レースクイーンとしてサーキットにいるときはスポンサーさんのPRは当然として、それと同じくらいかそれ以上にレースそのもの、レースって素晴らしいなということを伝えていきたいかなって思いました」

と語る安藤麻貴さん。レースに出場して得るものは大きかったようです。

そんな印象を語る彼女のもとへ、壮絶バトルを繰り広げたこにわさんがやってきます。「いやぁ、バトル楽しかったですよ。負けちゃいましたけど」と語るこにわさん。悔しい!といいながらも、お互いでモータースポーツの理解を深めながら広げていきたいということで固く握手。

レースを走る喜びを覚えてしまった安藤麻貴さん、年内にぜひまた出たいと意欲を燃やしています。その願いがかなうかどうか、今後の動向に注目です。

(写真・文:松永和浩)

 

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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