ステアリングもペダルもない自動運転レベル4 ZFの「トレンドセッティング・コックピット」【ZF TECHNOLOGY DAY③】

ドイツで開催された「ZFテクノロジーディ」では、商用車向けの製品・技術だけでなく、乗用車にも活用できる幅広いソリューションが発表されました。

「トレンドセッティング・コックピット(=トレンドを創りだすコックピット)」は、緊急時以外はドライバー操作が不要な自動運転「レベル4」に対応した実用的な運転席です。

また、イベント前日の記者会見で2019年の量産開始が発表された自動運転の「e.GO Mover」電動バスや、スイスのベンチャー企業「リンスピード」社との共同開発による「Rinspeed Snap」なども、今回初めて日本のマスコミに実車が披露されました。

「e.GO Mover」は来年に量産が開始

「トレンドセッティング・コックピット」にはステアリング・ホイールとペダル類がなく、センターコンソールに装備されたジョイスティック状の統合制御レバーが加減速や方向転換などクルマの前後左右の動きをコントロールします。

また、中央に配置されたタッチスクリーンでウインカーやワイパーなどの操作が可能です。左右に置かれたスクリーンにはスピードやエンジン回転数、エネルギー残量など運転に必要な情報や、ニュース、テレビ放送、業務用書類など、必要に応じたコンテンツを表示する事ができます。

「レベル4」の自動運転中はドライバーが前面道路などクルマの周辺環境に注意を払う必要が無くなるため、映画鑑賞などの娯楽を楽しんだり、書類作成などの仕事を行ったりする事が可能になります。「トレンドセッティング・コックピット」は、そうした場合に便利で快適な空間を提供できるよう設計されています。

さらに、運転に必要な操作が左右どちらの座席からでも可能なため運転席と助手席の区別がなくなり、狭いスペースでの乗降性向上や荷物積み下ろしの利便性にもつながりそうです。同時に、いわゆる「右ハンドル」「左ハンドル」の区別がなくなり、自動車メーカーの生産面の効率化にも貢献します。

ステアリングやペダルの無い「トレンドセッティング・コックピット」

「e.GO Mover」には電動ドライブに加え、ステアリング、ブレーキ、ダンピングと後輪操舵システムおよび自動運転機能を可能にする「ProAI」コンピュータとカメラ、レーダーおよびライダーといったセンサー類が装備されています。

会場で披露された「ほぼ量産モデル」の展示車両には、現状の法規に基づいた型式認証とナンバー取得のために一般的な運転席が設けられていたましたが、システムとしてはステアリング・ホイールなどが無くても自律走行が可能だそうです。

e.GO Moverには運転席が不要

来年終盤の量産開始後は、パートナーである「e.Go Mobile」社のあるドイツ・アーヘン市とZF本社のあるフリードリヒスハーフェン市を含めた複数の都市で試験運用が行われると予想されます。

特に発表はありませんでしたが、アーヘン工科大学のキャンパスには、既にネットワーク接続されたインフラストラクチャが構築されており、構内では学生や教職員の移動用などに高いレベルの自動運転が行われるかも知れません。

最大15名(座席は12名分)迄の乗車が可能なミニバス