R33の開発責任者の前には、R32GT-Rの実験も担当していた渡邉さん。開発にあたってはアウディのグループB車両を買って分析したところ、ホモロゲモデルがいかに武骨に作ってあるかを体感できたそうです。
ニュルブルクリンクは、それまでは「ただ走った」だけで、本格的にテストを始めたのはR32GT-Rが初だそうです。
R31のGTS-Rでは、タービンが巨大なだけに潤滑不良がみられたり、スキッドパッド走行の強い横G旋回ではガス欠症状が出たりといった事象があったので、従来の開発手法を遵守するだけは目標性能を発揮できない、ということからのニュルへのチャレンジでした。
当時8分40秒~45秒台だったポルシェを上回ること、というのも901活動にも盛り込まれました。高低差300メートルもあるジェットコースターのようなニュルにおいて、どこまでパーフェクトを目指して頑張れるかの挑戦でした。
1周走るごとに足回りをバラし、ハブが割れていないかブッシュがたわんでいないかなどをチェックしたそうです。「1周ごとになぜわざわざ」とプロドライバーからクレームが起こるも、あえてそれに介さず取り組んだそうです。
いまでこそコース上に控室が設けられていますが、当時は新参者ゆえそれも用意することは許されないような状況でした。しかし回を重ねるごとに、GT-Rが走れば先行車が避けてくれるようになったり、他社がGT-Rを比較車両として購入していたりと、徐々に溶け込んでいきました。