電動化時代の必須テクノロジー「静かなタイヤ」を実現するトーヨータイヤの新技術

世界的に電動車がブームになっています。エンジンを積むハイブリッドも電動車に含まれますが、エンジンを使わない領域が増えるほどに走りの静粛性が向上するのは、既存のハイブリッドカーでも実感するところです。

つまり、環境を意識した電動化ムーブメントは、その副次的な効果として静かで快適なクルマを多く生み出すと考えられています。

そうしたトレンドは、タイヤメーカーにも影響を与えています。ロードノイズに対するタイヤの影響は大きく、静粛性が商品力となる時代には静かなタイヤが求められるからです。

「トーヨータイヤ」ブランドで知られる東洋ゴム工業が、新たに発表した技術『Toyo Silent Technology(トーヨーサイレントテクノロジー)』は、タイヤ空洞共鳴音を低減する効果を持つデバイスです。

これまでも吸音材をタイヤやホイールの内側に貼り付けることでタイヤ空洞共鳴音を低減するというアイデアは、タイヤメーカーや自動車メーカーにより実装されていますが、トーヨータイヤの新テクノロジーは、そうした既存の技術とは異なるアプローチなのが特徴です。

タイヤ空洞共鳴音が発生するメカニズムは、走行中のタイヤ変形により内部の空気が振動しているためです。今回、その空気の振動をシミュレーションした結果、タイヤ内部で周方向と垂直方向という2つの流れがあることを発見したといいます。

そこで、周方向・垂直方向いずれの流れにも対応するよう多孔フィルムと円筒状スポンジを組み合わせて山なり形状にしてタイヤ内部に貼ることでノイズを低減しようというのが『トーヨーサイレントテクノロジー』です。

具体的には、共鳴音の周波数帯においてマイナス12デシベルといいます。、つまりノイズは1/4になっているというわけで、非常に効果的なテクノロジーであることがわかります。

現時点では技術発表であり、具体的な商品化については未定となっていますが、市販タイヤへの採用が期待されるテクノロジーであることは間違いありません。

(山本晋也)

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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