国内戦は富士スピードウェイが有力 – 「クラス1」レギュレーションが完成 –
6月23~24日の週末、ヨーロッパで最も人気のあるシリーズの一つであるDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の第7~8戦が開催されました。決勝レースに先立って、DTMを統括する「ITR」とSUPER GTのオーガナイザーであるGTA(GTアソシエイション)による共同記者会見が行われ、GTAの坂東正明代表からGT500とDTMの共通技術規則となる「クラス1(ワン)」テクニカル・レギュレーションの完成が発表されました。さらに来年には、日本とヨーロッパでそれぞれ一戦ずつ、GT500とDTMのマシンによる交流戦の開催も決まったそうです。レクサスLC500、ホンダNSX-GT、ニッサンGT-RがアウディとBMWとどう戦うか、来年が待ち遠しいですね。
さてレースですが、DTMは2年前から土曜、日曜にそれぞれ予選、決勝を行い、1ラウンドで2つのレースが観戦できます。土曜日に行われたレース1(シーズン第7戦)では、エドアルド・モルタラ選手(スイス)が「メルセデスAMG C63DTM」をトップでゴールに運び、ポール・トゥ・ウィンを達成しました。電気自動車のF1とも呼ばれ、日産をはじめ世界各国の自動車メーカーが相次いで参戦を発表しているフォーミュラEにも参戦中のモルタラ選手。今後、要注目の選手です。
日曜日に行われたレース2(第8戦)でもメルセデス勢の速さは衰えず、5番グリッドまでを独占。1‐2フィニッシュを飾ったレース1の再現かと思われましたが、7番グリッドからスタートした「BMW M4 DTM」のマルコ・ヴィットマン選手(ドイツ)が怒涛の追い上げでライバル勢を退け優勝。2014年と2016年のシリーズ王者の貫禄を見せてくれました。
毎戦ドイツの「プレミアムブランド」同士の熱い戦いが見られるDTM。このマシンが日本でGT500勢とバトルを演じる舞台は富士スピードウェイが有力だそうです。坂東代表によれば、「長いストレートで時速300キロ以上の迫力あるレースをお見せしたい」とのことです。なお、レースは基本的にDTMの方式を踏襲し、一回のピットインとタイヤ四本の交換が義務。そして、ドライバー交代と再給油は行わないスプリントレースを週末に2度行う予定だそうです。どのメーカーを使用するかはこれからの検討事項だそうですが、タイヤもワンメイクで行うそうです。
元F1ドライバーで現在はITRの会長を務めるゲルハルト・ベルガー氏によると、この「クラス1」規定はコスト効率のよさ、安全性の確保と性能の均一化を柱として作成されたそうです。「このレギュレーションによって、自動車メーカーとレーシングチームは世界の2つの地域で行われる非常にレベルの高いレースにコスト効率の良い形で参戦することが可能になります。DTMとSGTが共通の目的、すなわち合同でのレース開催、に向けて大きく前進したことは本当に嬉しく思います」と語っていました。来年が本当に待ち遠しいですね。
(Toru ISHIKAWA)