エスプリ130Z、L型+シングルターボで谷田部へ挑戦! シェイクダウンは284km/h!・その4【OPTION 1985年8月号より】

1981年のOPT誌創刊当時から、最高速常連!ともいえる三重県・鈴鹿にガレージを構える「カーショップ・エスプリ」。老舗中の老舗ショップで今現在もOPTは大変お世話になっており、ありがとうございます!

そんなエスプリが持ち込んだ最高速仕様の130Zは、初のシングルターボで武装していました。しかも、シェイクダウンで284km/hという好記録。ではDaiちゃんインプレ、いってみましょう!

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L型シングルターボ、初トライで284km/h! by Dai稲田
エスプリ・フェアレディ130Zターボ

鈴鹿のエスプリといえば、スカイラインRSやフェアレディ300ZX……と、ニューモデルの登場とともにいち早く最高速チューンにアタックしたショップだ。

が、この130Zは初モノではなく、伝統のL型にエスプリ・チューンの実力をトライした決定版。これまで他のL型チューナーの速さをジッと指を咥えて見ていただけに、意気込みは凄い。「シングルターボで300km/h狙います!」というほど。

オレもその意気を感じ、わざわざテストランに鈴鹿まで出かけた。一応、ストリートでもいいから、マシンを事前にチェックしておきたかったからだ。その時点で、エンジンやサスペンションに注文をつけている。

本番の谷田部でも、L型キャブターボのパワーはかなりのものだ。キャブを最高速用のソレックス50φにしているので、低中速域はかったるい。しかし、フルブーストの1.2kg/cm2がかかった5000rpmあたりからの加速は、ビューンとノーズを持ち上げてダッシュしていく。シャシーダイナモで400ps以上のターボチューンは、さすがにアクセルを踏むのが怖いくらいの迫力だ。

室内の燃料増量スイッチを3つともオンにする。4速で7000rpmまで引っ張って5速へ。5500、6000rpmとタコメーターの針が上昇する。バンクではやや足のバランスが悪い感じだ。柔らかいというよりも、ダンパーの吸収力が前後で違う印象で、ちょっとピッチングが気になる。

エンジンは6000rpmからのノビが頭打ちになり、6100rpmしか回らない。トップスピードはそれでも284.58km/hをマークした。増量スイッチをカットした2度目の計測も同じ数値だ。まだガスが濃いような感じがする。

しかし、初めての最高速用L型ターボの初トライでこのスピードは立派。他の300km/h保持車は数え切れないほど谷田部を走っているのだ。欲を言えば、サスとエアロのダウンフォースを煮詰めて欲しい、そうすれば、安心して300km/hオーバーだ!

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谷田部テスト前にDaiちゃん自身が鈴鹿まで出向いてテストラン……私がOPT誌在籍中は、ン~、聞いたことがないです。それほどDaiちゃん、このエスプリZに期待していたのでしょうね!

Daiちゃんの最後の一言…谷田部最高速テストは、ドライバーが安心して踏めるかどうか?によって違ってくるものです。オーナードライブなら、そのクルマのクセなども分かっていますが、初乗りでテストとなると、最初の1~2周でクルマの素性を感じ取り、それから全開。「安心して踏めるかどうか=命を守れるかどうか」だと私は思っています。谷田部テスト常連のエスプリでも、チョイ足まわりセッティング等に煮詰めが必要のようでしたが、前川さん(後に、似ているからと「前川弥七(水戸黄門の)」と名付けられました)、Daiちゃんの想いを記録で証明してくれましたね。では次回その5は、エスプリ130Zのメカニカルチェックです!(↑の画像は「VIDEO OPTION CHANNEL」V-OPT 045-6より)

[OPTION 1985年8月号より]

(Play Back The OPTION by永光やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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