航続距離や燃料補給(3分程度)でガソリン車並みの使い勝手を実現した燃料電池車「FCV」を電動車の柱の1つとするトヨタ自動車。2014年12月にセダンタイプのFCV「MIRAI」を日本で723.6万円で発売しました。
2015年秋からは米国・欧州でも発売し、年間生産台数を2015年に約700台、2016年に約2,000台、2017年以降は約3,000台と、年々増加させています。
現在では日米欧の計11ケ国で「MIRAI」を販売しており、今秋からはカナダでも法人向けの販売を始めるそうで、2020年以降には1桁増となる3万台/年規模の世界販売を目指しているそうです。
将来のFCV普及に向け、2020年代に本格的な普及期に入る必要が有ると考えているそうで、今年5月には2020年頃の稼働を目標に、愛知県豊田市の本社工場内にFCVの基幹ユニット「スタック(燃料電池)」を生産する建屋の新設を決定、増産体制に備える計画。
さらに同社は6月6日、セブン‐イレブン・ジャパンとCO2大幅排出削減を目指した次世代型コンビニ店舗の共同プロジェクトを2019年秋より開始すると発表しました。本プロジェクトは、セブン‐イレブンの店舗と物流にトヨタが培ってきた技術やシステムを活用してCO2排出削減を目指すもので、商品の配送用に小型FC(燃料電池)トラックを導入。
店舗にFC発電機を導入し、水素で発電した電力を店舗で使用するなど、水素由来の電力をエネルギーマネジメントシステムで統合的に管理することでCO2の排出削減を進めるそうです。
「MIRAI」の技術を活用した小型FCトラックは、1回の水素補給で約200km走行できるほか、 冷蔵・冷凍設備の給電にも利用可能。
現在2万店以上の店舗が存在するセブン‐イレブンでは、約6,000台の配送トラックが24時間に渡って商品を運び続けていることから、トヨタは今後、配送用FCトラックが消費する水素に着目。
産業車両への水素利用が進めば、水素燃料の安定需要が確保され、水素ステーションの整備が進み、FCVの普及にも弾みが付くとみているようです。
日産・ルノーが独ダイムラーや米フォードと共同開発するFCVの商用化を凍結する方針を固めるなど、相反する動きも有るようですが、EVに比べ、クイックチャージが可能なFCVは電動車としての利便性が高いことから、トヨタとセブン‐イレブン・ジャパンによる今後の取組みが大いに注目されます。
(Avanti Yasunori・画像:TOYOTA)
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