温泉津(ゆのつ)の町並みと日本温泉協会最高評価の温泉を堪能(島根)【車中泊女子の全国縦断記】

【石見銀山 世界遺産センター】から約18km、「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として世界遺産に登録されている、重要伝統的建造物群保存地区・温泉津(ゆのつ)をご紹介します。

港町でもあり温泉町でもある温泉津は、かつて石見銀山で採れた銀や木材、陶器(温泉津焼き)の積出港として、また北前船の寄港地としてたいへん賑わいました。

こうした昔ながらの町並みがあるところは、たいてい道がとっても狭いのでクルマでお越しの際はご注意ください。

無料の市営駐車場は普通車6~7台分くらいの広さしかなく、満車だったので、ご近所さんに聞いて港の空き地に停めさせていただきました。写真のお堂や岸壁を削って安置された石仏が並んでいるあたりです。

町並み保存地区ではありますが、ごく自然に古い建物と新し目(と言っても昭和風)の建物とが混在しています。

石見銀山の最盛期頃、頻繁に温泉津港に出入りしていた北前船の守り神として信仰を集めていた龍御前(たつのごぜん)神社の本殿は、龍岩の真下に建てられています。創建は天文元年(1532)。もともとはこの巨岩自体が、盤座(いわくら)、すなわち神の光臨する場所として崇拝されていたのではないかと考えられているそうです。

本殿からの眺め。歩いていると町並みに統一感がなかったように思えましたが、こうして見下ろすと一様に石州瓦が使用されているのが特徴的です。

大永元年(1521)開山、西楽(さいらく)寺。顕如上人からの大阪石山合戦への依頼状が残されている寺院で、本堂は江戸時代後期に再建されたものです。

大永5年(1525)開山、恵珖(えこう)寺。戦国武将・細川幽斎が「百歌連歌の会」を開いた逸話や、石見銀山初代奉行 大久保長安の「殺生禁断の制礼」や逆修墓があることで知られる古刹です。

ほかにも厳島神社(分社)、安楽寺、龍澤寺、内藤家庄屋屋敷(延享4年(1747)の温泉津大火で建て替えられたものの、温泉津では最も古い)などが点在し、かつての賑わいを忍ばせています。石見銀山エリアの町並み地区と併せて見学すると、よりいっそう当時の繁栄や暮らしぶりが間近に感じられるのではないでしょうか。

温泉津温泉が発見されたのは、約1300年前。旅の僧が湯に浸かって傷を治している狸を見つけたとか、縁結びの神様・大国主命(おおくにぬしのみこと)が病気のウサギをお湯に入れて救ったことから始まったとも伝えられています。

【薬師湯】は、日本温泉協会による天然温泉の審査で、最高評価の「オール5」を受けた100%源泉かけ流し温泉(入浴料350円)。
営業時間終了後、毎日湯船のお湯をすべて抜いて清掃作業をしているそうです。2階では珈琲の無料サービスもあり、おもてなしの心にもほっこりしますね。

薬師湯の隣は、薬師湯の旧館で大正8年に建造された木造洋館。現在は【震湯カフェ内蔵丞】として営業しています。

道の駅【サンピコごうつ】
住所:島根県江津市後地町995-1
電話:0855-55-3151
駐車:普通車 50台/大型 10台/身障者 2台

物産館、軽食(テイクアウトブース)併設。お食事は、隣接の【ドライブステーション舞乃市】で江津ブランド「まる姫ポーク」や海鮮丼などが味わえます。
温泉津から約9kmです。

(松本しう周己)

この記事の著者

松本しう周己 近影

松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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