【プジョー308試乗】 復活した「猫足」!? ハンドリングと乗り心地、そしてロードノイズの実力は?

308の足回りは一言で言えば「柔らかい」です。路面のギャップを超える際はタイヤがたわみ、サスペンションがストロークして、しなやかにいなします。やや荒れた路面でも、クルマはピョコピョコしたり、ぶるぶると震えたりすることもなく、「すー」と走行をしていきます。路面の大きめのうねりでは上下の動きがやや大きいので、「ふわん」と感じます。でも、これを「乗り味」と解釈して堪能することができれば、どなたでもきっと308の乗り心地を気に入ることでしょう。

ただし、ネガティブポイントが一つだけあります。それは、ロードノイズの大きさです。街中などの一般道路を走行するシーンや高速道路などの車速が高めとなるシーンでは、低めのロードノイズが常に目立ちます。シャシーは、16インチの標準的なタイヤサイズですから、タイヤの縦ばねが極端に高かったり、接地面が大きかったりするわけではありませんが、常にタイヤの方向から「コー」という音が耳に入ってきます。

このあたりはCセグメントのベンチマークとするVWゴルフとは大きな差になってしまっています。ディーラーを出発した直後から、このロードノイズの大きさは最後まで気になってしまいました。

物理的には、乗り心地とロードノイズの性能は「加速度」と「音」として切り離すことができます。しかし「クルマの快適性」を評価する上では、決して切り離すことができません。両者それぞれの水準を上げていかないと、車両トータルの評価を上げられない点が、乗り心地と音振の難しさでもあります。

プジョー308は、柔らかい足回りのセッティングが施されており、小気味良いハンドリングと当たりの柔らかい乗り心地を持ったクルマです。やや大きめのロードノイズがありますが、すっきりとした内外装デザインによってフランス車(「車」より「人」のほうがいいと思う)のセンスを満喫できるクルマでした。

●試乗車/PEUGEOT 308 Allure 主要諸元

全長×全幅×全高:4275×1805×1470mm
ホイールベース:2620mm
ボディタイプ:5ドアハッチバック
乗車定員:5名
駆動方式:FF(前輪駆動)
車両重量:1290kg
エンジン種類:直列3気筒DOHC ターボチャージャー付 直噴ガソリンエンジン
総排気量:1199cc
最高出力:130ps(96kW)/5500rpm
最大トルク:230N・m/1750rpm
トランスミッション:6速オートマチック
燃料消費率:18.1km/L[JC08モード燃費]
サスペンション:マクファーソンストラット式(前)、トーションビーム式(後)
タイヤ:205/55R16 ミシュランENERGY SAVER
車両本体価格:2,790,000円[消費税込]

(文/写真:吉川 賢一)

【関連記事】

【プジョー308試乗】 フランス流Cセグメントハッチバックの特徴を3気筒 1.2Lガソリンターボのベーシックグレードから探る
https://clicccar.com/2018/06/14/598901/

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
続きを見る
閉じる