【富士SUPER TEC24時間レース】パドックでバラバラにされた乗用車たち。その使い途は?

6月2〜3日に富士スピードウェイで開催されたピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦「富士SUPER TEC 24時間レース」。

24時間レースともなれば本当に様々なドラマが生まれます。

例えばパドックのピット裏でバラバラにされているこのクルマ。ナンバーが付いた乗用車が、なぜバラバラなのでしょうか?

大会イメージガールによるカウントダウンでコースインし、GT3マシンやTCRマシンなどが走る華やかな24時間レース。

しかし、トラブルやクラッシュはレースにつきもの。ところが今回の24時間レースの場合はコースで止まってしまったことが即リタイヤ、とはならないのです。

コース上で止まってしまった場合は専用の修理エリアで、また何とかピットに戻ってくることが出来ればピットガレージで修復してレースに復帰することが出来るのです。

SNSでもかなり話題になったこの「バラバラにされた白いデミオ」、チームクルーの移動用として活躍していたものですが、実はTEAM NOPROのデミオディーゼル「DXLワコーズNOPROデミオSKY-D」の緊急部品取りマシンとしての役割も担っていたのです。レースマシンの写真と見比べてみると塗装は違えどレースマシンと同じエアロが入っています。

スーパー耐久のST-2クラスからST-5クラスのマシンは全て市販車をベースにして製作されます。タイヤがスリックタイヤ、車高が下げられている、内装が全て省かれている、燃料タンクが安全タンクなっているなどの違いはありますが、基本的な変更箇所は全て公道走行可能なもので構成されています。

車高も車高調整式のサスペンションなので、部品取り用マシンは車高を公道走行に合わせておけば大丈夫。排気管にも触媒が付いています。

スーパー耐久に参戦するチームのほとんどは、この様なレースマシンに準じた装備の乗用車を用意しておきます。このような乗用車を用意することで、想定される交換部品のほかに予期せぬ故障やクラッシュなどにも対応できるのです。

デミオの場合は、あわや部品交換重修理…なトラブルが出たものの、トラブルはじきに解消し、取り外した部品を使うまでの大惨事にはならずにレースを進めることで、2位表彰台を獲得しています。

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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